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貧困が進んでいるのは、高齢層よりもむしろ現役世代?いやいや、単身の女性です。

日本の貧困問題

貧困率(相対的貧困率)の比較データ

日本の貧困率(正確には母集団の中央値の半分を下回る可処分所得しか得ていない人の割合=相対的貧困率)を、2000年と2012年の段階で比較したデータがあります(WEDGE編集部, 2016)。それによれば、まず、この12年の間に、日本全体の貧困率は、15.3% → 16.1%に悪化しています。

これは、日本が二極化してきているということであり、また、貧困の側にいる人の人数が増えたとも言えます。ここで注目すべきなのが、もっとも悪化したのが、30〜49歳の、11.8% → 14.4%というところです。働き盛り、現役バリバリの層において、貧困率が一番高まっているのです。

これに対して、高齢者(65歳以上)をみると、20.9% → 18.0%と改善しています。とはいえ、18.0%という数字は、全ての年齢層の中でもっとも高い数値であり、改善が見られるものの、未だに、高齢者が一番貧困が起こっている年代であることは変わりません。

単身女性の貧困率は、圧倒的に高い

とはいえ、こうした全体を見るというやり方だけでは、貧困の話をするときには、問題の所在を見間違います。日本において、圧倒的に高い貧困率を示すのは、母子家庭(50%を超える年が多い)と高齢者の単身女性(50%を超える年が多い)です。

切り口として、男女という視点をおかないと、日本の貧困問題は見えてきません。全体の数字も大事ですが、とにかく日本は、女性に優しくない社会であることは、過去の記事でも示した以下のグラフを見れば明らかです。
 
男女の賃金格差(日米比較)

介護職の待遇改善が、日本の貧困問題改善につながっている

そもそも、介護業界は、女性の労働者が8割を超える業界であり、また、低賃金が問題視されているところでもあります。介護職の年収は、全産業の年収よりも100万円以上安いのです。

結局のところ、介護業界の待遇改善を行うことは、日本の貧困問題に直結しているという点は、本当に悲しいです。とはいえ、悲しんでも仕方がなくて、介護業界の待遇改善を進めることは、本当に待ったなしです。

この点について、安倍総理が言及したということは、前進です。もちろん、言及しただけで、どの程度の待遇改善となるかは、今後も注視していく必要があります。

このためには、増税も仕方がないと思います。ただ、税金の使い道については、増税の前に精査する必要があります。本来、しっかりと行き渡るべきところに行かず、おかしなところで甘い汁があるような設計では、増税してもなんの解決にもならないことは明白だからです。

※参考文献
・WEDGE編集部, 『高齢者の貧困は改善 下流老人ブームで歪む政策』, 2016年2月号
・内閣府, 『男女共同参画社会の形成の状況』

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