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高齢の受刑者がここ20年で4.6倍に増えて刑務所が「老人ホーム」に。いい加減、日本の社会福祉をデザインしなおす必要がある。

認知症の受刑者が増えている

法務省が認知症の受刑者に関する報告を行った

高齢者(65歳以上)の受刑者は、過去20年間、ほぼ一貫して増加しているようです。特に、1995年から2014年までの20年で、その数が約4.6倍に増加しているという報告内容には驚きます。

認知症と診断された受刑者は、全受刑者の約14%で、ここから、全国の刑務所にいる認知症の人は、およそ1,300人いると推計されています。この対応には、相当の労力がかかることは明らかです。実際に、刑務所によっては認知症予防に力を入れていたりもします。

高齢の受刑者は、刑期を終えても、多くが戻るところがありません。刑務所を出所してしまうと、前科があるハンデをもっての就職も大変です。孤独と貧困によって、むしろ刑務所に戻りたいと考えて、また罪を犯す高齢者も多いのです。

そうして、現在の刑務所は、ときに「高級老人ホーム」と揶揄されるまでに、おかしなことになってしまっています。刑務所の中で認知症になったほうが、刑務所の外で認知症になるよりも、むしろ安全・安心だったりするので、困った話です。

刑務所のほうが、よいサービスを受けられるのはおかしい

真面目に仕事をしてきて、定年し、病気になって高額の医療費がかかり、貧困化する高齢者は多数います。その上で、独り身となり、認知症になったりしています。

こうした高齢者は、お金の支払い能力もないことが多く、善意のボランティアによってなんとか生きているという状態にあります。しかし最近は、善意のボランティアが追いつかないほどに、貧困と認知症に苦しむ高齢者が増えています。

結果として、社会的に放置され、孤独死していく高齢者が増加しています。盛んに「見守り」という言葉が使われていますが、現実には「孤独死していたら早めに見つける」といったところが限界です。孤独と貧困自体を止めるようなところまでやれているケースはあまり聞きません。

今の状態では、高齢で独り身になったら、軽犯罪を複数回犯して、刑務所に入ったほうが安全・安心です。認知症予防までしてくれます。お金もかかりません。受刑者として作業などをやらされますが、一人で、電気の止められた部屋にいるよりもよいかもしれません。

受刑者にも人権があります。ですから、今よりも刑務所のサービスレベルを低くすることを望んでいるわけではありません。もともと最低限のサービスレベルのはずですし、刑務所を管理する人々も、しっかりと仕事をしているだけの話です。ここは、とても大事な部分です。

そうではなくて、真面目に生きてきた人が、不運によって大変なことになっている現実のほうに、もっと社会として力を注がないといけないということです。真面目に生きても、最低限のサービスレベルにある刑務所にすら及ばないところが、大問題なのです。

官民が連携して社会福祉について広く議論する必要がある

こうした社会的におかしな不平等が広がってしまっているのは、過去に作り上げてきた日本のシステムが、老朽化してしまっているからです。今一度、歳入(国の収入)と歳出(国の支出)を見直し、日本の社会福祉をデザインしなおす必要があります。

付け焼き刃的に、助成金のバラマキをしても、どうにもなりません。こうした助成金も、その申請手続きや承認手続きなどの運用に、莫大なコストがかかっていたりします。

あの、うるさいだけの選挙カーなども、レンタル費用やガソリン代が税金から出ています。インターネットの時代にあって、スピーカーでうるさく名前を連呼するような選挙の手法とか、ありえないと思っている人が大半です。ちなみに、たくさん送るハガキやポスターも税金から出ています。

世界ではボランティアが基本の地方議員も、国民1人あたりの人数がアメリカの5倍とか、非常勤にもかかわらず年収1,000万円近くもらえるとか、本当に見直さないといけません。

今、日本の社会福祉をデザインしなおさないと、本当に大変なことになります。官民が真に連携し、きちんと議論をしていかないと、人によっては「刑務所がベスト」という状態も、さらに強調されていくことでしょう。

※参考文献
・法務省, 『認知症傾向のある受刑者の概数調査結果の公表について』, 平成28年1月26日
 

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