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サルコペニア(sarcopenia)対策とは?(EWGSOP診断アルゴリズム)

サルコペニア(sarcopenia)

サルコペニア(sarcopenia)とは?

ギリシア語で「サルコ(sarco)」は「筋肉」を表す言葉で「ペニア(penia)」は「減少」を意味する言葉です。これらを合わせて「サルコペニア(sarcopenia)」とは「筋量と筋力の進行性、かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群」(EWGSOPコンセンサス2010の定義)という意味で使われている言葉です。

人間の筋肉量は、20代のころをピークとして、30代からは減少をはじめます。80代になると、筋肉量は、20代のころの60%前後にまで減少することが知られています。これが、通常の減少速度よりも早く進んでしまうと、サルコペニアとなってしまうわけです。

筋肉の量が減ると、疲労しやすくなったり、倦怠感が出てきたり、冷え性になったり、仕事が手につかなくなったり、食欲不振になったりもします。サルコペニアになると、こうしたことが一気に襲ってくるわけで、とても怖いです。

サルコペニアに該当する人は、60~70歳で5~13%、80歳以上では11~50%といわれています。サルコペニアの人は、筋肉が減少していく状況にあり、転倒のリスクも高くなります。高齢者の転倒は、骨折につながり、結果として要介護状態になる可能性が高いものです。

ヨーロッパのワーキンググループ EWGSOP(The European Working Group on Sarcopenia in Older People)による、サルコペニアの診断アルゴリズムを以下に示します。もちろん、医師ではない素人が、勝手な診断はすべきではありませんが、それでも目安として参考になります。

EWGSOP診断アルゴリズム

ここで、握力や骨格筋量の基準については、人種や国によって異なるとされ、EWGSOPでは明確な基準値(カットオフ値)は与えていません。日本では、この基準値について、まだ広く合意はされていないようです。ただ参考値としては、握力;男性30kg以上、女性20kg以上/筋量;男性6.75kg/m2、女性5.07kg/m2というものがあります。

横断歩道は、1m/sの歩行速度で渡り切れるように設計されている

よく「青信号のうちに、横断歩道を渡れなくなったら要注意」と言いますね。これは、横断歩道が、1m/s(1秒間に1m進む)の歩行速度で渡り切れるように設計されていて、歩行速度がこれ以下になると、サルコペニアなどの疑いがあるからです。

人間が日々を生きるために必要な活動を特に「日常生活活動(ADL)」と言いますが、この能力の低下も、歩行速度によって(簡易的に)確認することができます。サルコペニアはまた、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)にも通じる概念ですね。

繰り返しになりますが、こうした診断は、医師によってなされるべきものです。ですから、少しでも疑いがあれば、医師に相談すべきでしょう。ただ、それでも歩行速度だけは、素人でも外から観察できるものです。親を見ていて「歩行速度が落ちてきたな・・・」と思ったら、それを医師に相談するきっかけとすると良いと思われます。

サルコペニアを予防するために

基本的には、適度な運動によって筋力を維持するのが大事です。同時に、筋肉をつくるための栄養摂取も大切になります。運動と食事のコンビネーションが、サルコペニアの予防には最も大事なことになります。

特に、食事制限によるダイエットは、サルコペニアの敵です。運動をしながら、肉、魚、卵、乳製品といった、筋肉をつくるたんぱく質をとるように心がけましょう。理学療法士が近くにいる場合は、要介護者の普段の食事が、筋肉をつくるのに十分なものになっているかどうか相談・確認するとよいでしょう。

運動は、適度な量のものを習慣として実施していく必要があります。特に、75歳を過ぎると、サルコペニアのリスクが高まるので、その前から、日々少しずつでも運動をする習慣をつけておきましょう。

※参考文献
・太田喜久夫, 『高齢者の生活機能改善とリハビリテーションの役割』, 国際医療福祉大学学会誌, 第20巻1号(2015年)
・山田実, 『サルコペニア 予防と改善』, 理学療法学, 第40巻第8号, 580~582頁(2013年)
 

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