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病院のベッド数削減は、女性を痛めつける(ニュースを考える)

病院のベッド数削減

日本の社会福祉のための財源が枯渇しつつあります。もはや待ったなしの状況です。これから様々な面で、社会福祉は悪化していきます。同時に、増税や公務員の総人件費抑制なども避けられないでしょう。こうした社会福祉の悪化の1つとして現在議論されているのが、病院のベッド数削減です。これは、結果として日本の女性を痛めつけることにつながります。少しでもその影響を小さくするために、介護職の待遇改善が必要です。

政府の方針は、ベッドを減らす方向である

政府は、2015年6月に、2025年の時点での病院におけるベッド数を、全国で115万~119万床と、今のベッド数よりも20万床ほど減らすという目標を立てています。これは、日本の社会福祉に使える財源がどうにもならない状況になってきていることから、やむを得ないことかもしれません。

現在、長期で入院している人の中には、病院を、実質的な介護施設として利用しているというケースが多いのは事実です。ですから、こうした人を、病院から介護施設に「転院」させるというのなら、話もわかります。

しかし問題なのは、政府としては、入院患者の数を減らすということだけ決めていて、その後のことは「家族にまかせる」という形になっていることです。簡単に言ってしまえば、長期入院が必要な状態にある人を、家族により在宅介護させるということです。

2025年には約38万人の介護職員が不足する

厚生労働省の試算によれば、2025年の段階では、介護職員が約38万人不足することが見えています。この理由は、これまでに KAIGO LAB でもなんども述べてきましたが(1)介護職の待遇が悪い(全職種の平均年収よりも100万円以上安い)ことと(2)職場のストレスが大きい(特にコミュニケーション面)ことがメインです。

長期入院している患者は、自宅に返されれば、要介護者だと思って間違いありません。そうなると、介護職員が必要になります。しかし、ここが不足することが見えている現在、病院のベッドを削減するということは、そのまま、家族の負担を増やすということと同じ意味を持っています。

病院から「入院は、これ以上、できなくなります」と言われたとき、家族としては何ができるでしょう。介護施設に入れようと思っても、安くて追い出される心配の少ない特別養護老人ホーム(特養)は、申し込みから入居まで、数年待ちというのが普通です。

そうなると、介護をお願いされるのは、多くの場合、女性です。本来は、男女平等であるべきところですが、日本においては、女性の年収は男性の年収の半分程度にすぎません。このため、家族の中で誰が介護を担うべきかという議論があったとしても、経済的な理由から、女性になることが多いのです。

女性の社会進出のためにも、介護職の待遇改善が必要

結局、不足すると言われている約38万人の介護職を確保しないと、日本における女性の活用というのは、決して実現されないわけです。そうなると、日本では労働力が不足し、国の産業全体が立ち行かなくなってしまいます。

介護職の確保には、先にも述べたとおり(1)待遇の改善(2)職場コミュニケーションの改善、の2つが必要です。しかしそもそも、介護職におけるコミュニケーション悪化の原因は、職員数が足りず、忙しすぎることが原因の1つです。

ということは、根元的には、介護職の確保に必要なのは、待遇の改善なのです。職場コミュニケーションは、介護職がそこにいてはじめて問題になったりすることであり、そもそも、そこに介護職がいない限り、問題にはならないのです。

まとめ

・病院のベッド数削減は(まず)避けられない
・長期入院の患者は、実質的に、要介護者である
・2025年には約38万人の介護職員が不足する
・家族による在宅介護が激増し、主に女性が犠牲になる
・これを避けるためには、介護職の待遇改善が必要である

※参考文献
・日本経済新聞, 『病院ベッド削減、介護職員の確保が課題 社保推進会議』, 2015年8月3日
 

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