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本質的にカラオケが嫌いな人間はいない?カラオケを考える

カラオケ

カラオケを提供するデイサービスは増えています。中高年の習いごととしても人気が高いカラオケには、学術的にも多くの効果が認められています。今回は、そうしたカラオケに行きたがらない高齢者をどのように誘い出すかというところまで含めて、カラオケについて考えてみました。

デイサービスにはカラオケが多いという事実

介護業界に少しでも関わればわかるとおり、デイサービス(要介護者が日中通って楽しむサービス;多くは入浴が付いている)には、カラオケを行うところが多いです。

カラオケは、なんとなく知的でないという印象があって、それを毛嫌いする高齢者も多いのは事実です。ただ、実際に歌ってみて、それが嫌だという人は(極端に歌うことに苦手意識を持っている人をのぞけば)あまりいないように思います。

1972年に神戸で生まれたとも言われるカラオケは、実は、現代では、中高年の「習いごと」として大人気のものになっています。長いこと余暇などなかった会社員、家事・育児に自分の時間を奪われてきた人が、やっと得た自分の時間の中で、自分の楽しみとして歌うことを選択しているのです。

カラオケの研究

カラオケは、学者の研究対象として、たくさん研究されています。研究には、介護に直接関係するものから、若年層の情操教育といったレベルまで、様々なものがあります。おそらく、日本のカラオケについての研究は、世界一であると思われます。

カラオケは、まず、心理的にプラスの効果(ネガティブな感情の状態から、ポジティブな感情の状態に変わる)が認められています。認知症の促進を予防する可能性も指摘されています(認知症が改善するという指摘もあります)。また、カラオケは、身体的にも軽い運動に近い状態(呼吸機能を活発にさせ、嚥下障害の改善を助ける)がもたらされることも広く知られています。

カラオケは、一人で行っても、それなりに効果があることもわかっています。とはいえ、一人で行うよりも、複数人で実施したほうが、様々な効果も高くなることがわかっています(小社会ができあがり、そこで役割も生まれ、生きる喜びや張り合いが向上する)。実際に自分が歌っていなくても、誰かが楽しそうに歌うのを聞いているだけでも、リラックスの効果があります。

もちろん、個別に好き嫌いはあって、こうしたカラオケの効果には個人差があります。それでも、一般にはカラオケは心身の健康にとって良い効果があるとみて間違いありません。カラオケは、高齢者に限らず、人間の健康にとって、非常に効果の高い活動なのです。

また、古来人間にとって「歌をうたう」という行為には特別な意味がありました。人間のみならず、他の動物にとっても「声を出す」ということには大きな意味があります。極端に言えば、民俗学的にも、生物学的にも、人間は歌が好きな動物のはずなのです。

上手に誘ってあげて、上手に褒めてあげたい

高齢者をカラオケに誘い出すには「いまさらカラオケなんて」という、はじめの感情を乗り越えることが一番大変です。人生を通して、あまり人前で歌うことがない人にとっては、どうしても、カラオケは照れくさいし、プライドが許さないことも多いのです。特に、男性の高齢者を誘いだすほうが大変という意見が多いようです。

男性の高齢者を誘い出すには「その男性は歌いたいわけではない」が「頼まれて仕方なく、付き合いで」という状況にしてあげることが有効なようです。ある介護職の人に聞いたノウハウとしては「孫がカラオケに誘う」という状況を作り出せば、かなり成功確率が高いというものがありました。

一度、カラオケの楽しみを覚えてしまえば、二回目以降に誘い出すのは、ずっと簡単になります。そのため、一度目の誘い出しに成功したら、そのときに良い思い出ができるように、相手にとって「なつかしい歌」などを中心としたカラオケの選曲を心がけると良いでしょう。

まとめ

・カラオケを提供するデイサービスが増えてきている
・カラオケには心理的にも身体的にも優れた効果が期待できる
・本来は、歌が嫌いという人は少ないはず
・なんとかカラオケに誘い出して、カラオケを楽しんでもらいたい
・そのためには相手のプライドに配慮して「頼まれて」の参加がよい

※参考文献
・松本じゅん子, et al., 『カラオケとヒトカラによる心身への効果』, 信州公衆衛生雑誌 Vol. 10(2015年)
・正岡裕子, et al., 『カラオケによる音楽療法の実施~利用者に与える効果について~』, 介護老人保健施設アスピア(2015年)
・佐々木理恵子, et al., 『個別レクリエーションが高齢者の認知症にもたらす効果』, 宮城社会保険介護老人保健施設(2014年)
・渡辺英男, 『日本の成人の「カラオケ習い事」の持つ意味』, 哲学, 第111集(2004年)
 

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