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ネガティブな発言によって、人は孤立する(群れのルールから考える)

群れのルール

頑固になって、孤立してしまう高齢者がいます。その原因は、生物の進化の過程で獲得してきた「群れのルール」にあるのです。今回は、生物学によって明らかにされた「群れのルール」から、孤立の原因について考えてみます。

人間も「群れのルール」に従っている

生物学的には、群れというのは(1)衝突をさける(2)中心位置に向かう(3)周囲と同じ速度を守る、という3つの決まりによって構成されています。人間も、古来、群れを組んで生きてきた生き物です。ですから、この「群れのルール」は、人間にも遺伝子レベルに組み込まれています。

他者を批判したり(=衝突する)、周囲の文句を言ったりする(=中心位置からずれる)ということは、実は「群れのルール」に違反しています。こうしたネダティブな発言というのは、自発的に、群れから離れるということでもあるわけです。

さて。人間は、高齢者になると、どうしても、ネガティブな発言が増えてくるように思います。これは、群れから離れる(=孤立する)ということと同じ意味であることに、高齢者本人が自覚的であればよいのですが、意外と、本人はそのつもりではなかったりするようなのです。

もちろん、批判や文句そのものがいけないというわけではありません。時には、間違いなく必要です。ただ、私たちは、そうしたネガティブな発言をするとき、その代償として、自らが孤立するという結果を受け入れることになります。これに自覚的であるべきだと思うのです。

なんのためにネガティブな発言をするのか

こうしたネガティブな発言には2種類あります。1つは、社会問題に注意を向けて、その解決を促進しようとしての発言です。こちらのネガティブな発言は、社会の前進にとって必要なことですし、誰かがそのリスクをとって発言しないと、社会がおかしなことになってしまいます。

もう1つは、自分を優秀に見せるための発言です。一般にこれと信じられていることを否定すると、そこに注目が集まります。ですから、自分を際立たせるのに最も簡単な方法は、とにかく批判してみせることです。こちらのネガティブな発言は、注目は集まりますが、同時に、自らを孤立させます。

代償として孤立するにしても、社会の前進のためであれば、きっと誰かが認めてくれるでしょう。しかし、それがただ、自らを目立たせたいためのパフォーマンスであれば、結果として得られる孤立は、本当は望んていなかったことのはずです。

ネガティブな発言をするときは、結果として孤立するリスクを認識した上で、その発言の背景と根拠について固めておかないといけないということです。さもないと、ただ、孤立していく人生を、わざわざ作り出すことになるからです。

孤立した高齢者になる前に認識しておきたいこと

「自分は群れない」というのは、格好良く聞こえます。しかし、私たち人間の本能レベルに、群れのルールが刷り込まれている以上、それは(多くの場合)強がりです。人間は、誰にも誘われず、誰からも相手にされないという寂しさを受け入れられるように設計されていないのです。

極端に孤立した状態になってしまえば、自分ではなくて、社会のほうを批判しないと、自分のプライドも持たなくなってしまうでしょう。結果として、ますますネガティブな発言を繰り返すようになり、さらに孤立していくことになります。

逆に、ポジティブ心理学の知見によれば、ポジティブであれば、寿命が伸び、健康が促進され、仕事や人間関係もうまく行くということがわかっています。幸せに生きたいのであれば、少しでもポジティブでいられるように、自分の発言や行動を、自分で監視していく必要があるということです。

自分の意見をしっかりと主張するのは大事なことです。ただそれは、自らの孤立を生み出します。その集団において、孤立を受け入れる覚悟ができていないならば、ときには我慢して周囲に合わせるということも大事です。
 

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