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要介護者の自発的な動きを引き出すこと(大切な考え方)

要介護者の自発性

自分の意図しない方向に動かされるのは不快なこと

誰もが、自分の意図とは関係のない方向に、強制的に身体を動かされると、それを不快に感じます。自分の自由が奪われたような感じがしますし、また、相手に対して自分の弱さをさらすような印象があるからです。

介護のプロ、中でもベテランの人が、要介護者の身体を動かすときに注目すると、この点への配慮が強く感じられます。この配慮は、大きく2つの視点で構成されています。それらは(1)人間の身体の自然な動きを認識している(2)身体を動かすのは要介護者であることを上手に伝えている、ということです。

もちろん、私たちが介護のプロと同じようなレベルでやれると言いたいのではありません。そうではなくて、介護のプロが心がけていることを少しでも真似することで、自らの介護を、よりよいものにしたいということです。

人間の身体の自然な動きを認識している

人間の動作は、関節や筋肉によって、運動の方向が制限されています。ある方向には、いくら力をかけても動きませんが、別の方向には、少しの力でも動きます。合気道は、こうした知識の体型としても有名ですね。

私たちは、立ち上がったり、歩いたりといった日常生活の中で、自然に、かつ無意識に、体重の移動をしています。誰でも、体重の移動を、高度なバランスをとりながら行っているのですが、要介護状態になると、これが一人では難しくなります。

介護のプロは、このときの体重の移動を熟知しています。たとえば、人が立ち上がるときは、頭をさげることで、腰を浮かせるという動作を行っています。ですから介護のプロは、要介護者を立ち上がらせようとするとき、まず、要介護者に頭を下げてもらうようにお願いしています。

これが知識のない素人になると、いきなり要介護者を引き上げようとします。しかし、体重がまだお尻のほうにある要介護者を引き上げようとしても、ただひたすらに重いだけで、腰への負担も相当なものになります。また、要介護者も「むりやり身体を持ち上げられている」と感じるので、気分もよくありません。

同様に、歩行する場合、人間は左右に体重を移動させています。ですから、介護のプロが要介護者の歩行を助ける場合、手をとりながら、左右の足への体重移動をうながしています。これが素人の場合は、ただ手を引いて、前に動かそうとしていることが多いのです。

身体を動かすのは要介護者であることを上手に伝えている

介護のプロは、要介護者を移動させるとき、できるだけ手を貸さないようにしているように見えます。要介護者の自発的な動きをサポートしており、大きな力を使っているようには見えません(もちろん、場合にもよりますが)。

この背景を、介護のプロに、なんどか聞いたことがあります。かえってきた答えは「要介護者の自発性に気を使っている」というものでした。つまり、要介護者を動かしたいなら、要介護者に「動きたい」と思ってもらうことが大切だということです。

押されれば抵抗するのが人間です。介護とは、押すことではなくて、自立を支えることだとすれば、こうした何気ない介護動作の中にこそ、差が生まれるのでしょう。介護のプロのノウハウは奥深いです。なんとか、学んでいきたいものですね。
 

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