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「最近、うちの親も、ちょっとボケてきてる」という言葉を聞くとき

ちょっとボケてきてる

よく聞く言葉になってきました

周囲と話をしていて「最近、うちの親も、ちょっとボケてきてる」という言葉を聞くことが増えてきました。完全にボケてしまう前に、とにかく、ちゃんと病院に行くべきです。にもかかわらず、意外とアクションを起こす人は少ないようです。

ここには、社会心理学でいうところの「正常性バイアス(normalcy bias)」が働いてしまっています。人間は、自分にとって都合の悪いことが見えなかったり、仮に見えたとしてもそれを過小評価する生き物なのです。「正常性バイアス」とは、こうした人間の特性を表した言葉です。

ちょっとした物忘れと、早期の認知症の違いは、素人には判断しにくいものです。「ちょっとボケてきた」という状態は、もしかしたら認知症の初期症状かもしれません。しかし、そうした自分に都合の悪い評価は「正常性バイアス」がブロックしているのです。

「うちの親も、ちょっとボケてきている」というとき、私たち人間には、本音では「少し物忘れがあるけど、大丈夫だろう」と考えてしまう傾向があるというわけです。これはしかし、かなりよくない対応なのです。

認知症は、早期発見・早期治療が鉄則

認知症は、早期発見・早期治療によって、その進行を遅らせることができる病気です。発見が遅れれば遅れるほど、後の対応が大変になります。本人にとっても、認知症が進行してしまうことは、とても怖いことのはずです。

しかし、介護の世界で知られている現状は、多くの認知症は、本人、家族や知人が「老化による物忘れ」くらいに軽く考えており、症状がかなり悪くなるまで放置されるというものです。特に本人は、かなり悪化しても、自分が認知症であることを認めたがらない傾向があります。

認知症の中には、かなり改善できるケースもあります。アルツハイマー型の認知症なら、薬で進行を遅らせることができます。本人が病気を理解できる段階で専門家の助けを借り、対処法(ICレコーダやタイマー、便利なメモ帳、使用による物忘れ対応など)を学んでおけば、その後の障害を軽減できます。

家族としても、本人の認知症が進んでしまわないうちに、後見人を設定したりすることで、病気が悪化したときの対応を決めておくことができます。また、家族が認知症について理解を深めるための時間を確保でき、各種介護サービスをじっくりと検討することもできるようになります。

「認知症サポーター」や「認知症カフェ」を利用するためにも

特定の訓練を受けた「認知症サポーター」と呼ばれる人々が、国内には約540万人もいます。「認知症サポーター」は、認知症の人が、地域社会の中で自立して生活できるように見守りを行ったり、そのための環境整備をしたりする人々です。

もちろん「認知症サポーター」の力だけで、認知症の問題が消えたりはしません。しかし、認知症であることがわからないと、こうした人々の助けを受けることもできないわけです。

また、最近は非営利の「認知症カフェ」が増えてきています。こうしたサービスを活用することで、認知症について学んだり、その進行を遅らせるノウハウを手に入れたりすることができます。

「最近、うちの親も、ちょっとボケてきてる」というとき、それを放置しないでください。「正常性バイアス」から自由になり、きちんと、危機管理をしていきたいところです。

※参考文献
・千葉県, 『認知症の早期発見・早期対応に向けた取組』
 

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