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津波被害で高台移転をすると、介護施設利用料が上がる・・・

陸前高田
(岩手県陸前高田市に残されたマンション/KAIGO LABスタッフ撮影;2013年1月)

こんなことは許されない。

毎日新聞が衝撃的なニュース(2015年12月3日)を出しています。津波被害で高台移転をした高齢者に対して請求される介護施設利用料が、高台移転をしたことによって上げられているというのです。以下、引用します(太字は KAIGO LAB)。

東日本大震災で津波被害が出た岩手県の沿岸部で、高台への集団移転のため自宅の土地を自治体に売った被災者が、売却益を収入とみなされ、介護保険施設に入居する家族の食費や居住費が減免対象から外れて急激な負担増に苦しむケースが相次いでいる。

負担額は最大で約90万円。売却した翌年中に新たな住まいを建てれば減免が続く特例があるが、高台造成自体が遅れて救済を受けられないことが多く、高齢者らに困惑が広がっている。(中略)

岩手県の担当者は「移転事業による土地売却は、本人が望んだものではなく、社会的な必要性に迫られた側面が強い」と話す。厚生労働省に対応を求めたが、正式な回答はなく、「現段階で決まっていることは何もない」(介護保険計画課)としている。

東日本大震災から、もう少しで5年になります。それでも、被災地の復興は、まだまだです。しかし、メディアで取り上げられる機会は減り、現地で何が起こっているか、よくわからなくなってきています。

助けてくれとは言わないけれど・・・

もちろん、被災地にも、様々な人がいます。それでも、少なからぬ人は、とにかく毎日を乗り越えるように頑張っています。助けてくれという声はあげなくても、「もう限界だ」と感じている人もいます。今回のニュースのようなことがあっても、それを不当だと大声で訴えたりする人は少数です。

しかし訴えがないからといって、そこに問題がないわけではありません。今回のようなニュースで明らかにされるのは、氷山の一角です。介護という側面から言っても、被災地では介護施設が流されたり、介護職員が亡くなったりして、日本でも介護のマンパワーが最も足りていない地域になってしまっています。

特に認知症にとっては、環境を変化させることは良くないと言われます。それでも、仮設住宅に入ったり、高台移転をしたりせざるをえない高齢者が多数います。仮設住宅からは、出て行かなければなりません。仮設商店街なども、撤去されていきます。まだまだ、環境の変化は続くのです。

ここで厚生労働省を突き上げてもしかたがない

ここで、厚生労働省を突き上げてもしかたがないでしょう。おそらくは、担当の官僚は、すでに寝ないで動いているとも思います。ただ、傍観者のような立場から、こうした人々を批判しても、根本的なところは変わりません。

こうした「バカげたこと」が放置されてしまう本当の原因は、KAIGO LAB 編集部自身も含めて、被災地のことを気にかける人が少なくなっていることにあると思います。それが、現地のニュースを減少させ、現地の問題を見えなくさせてしまうのです。

※参考文献
・毎日新聞, 『岩手の被災者 土地売却で介護費負担増…高台造成に遅れ』, 2015年12月3日
 

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