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介護うつ(自分には関係ないと思わずに)

介護うつ

介護することのストレス

ストレスとは「外部からの刺激によって、自分の心や身体に負荷がかかった結果として生まれる歪み」のことです。介護の文脈に当てはめると、親などの介護をする必要ができたことによって、自分の心や身体に負荷がかかり、ストレスが生まれるということになります。

近年、このストレスが、介護者を「うつ」にしてしまうことが問題になってきています。ある報告では、介護をしている人の27.4%が「うつ」にあるのに対して、介護をしていない人のそれは8.7%ということが示されています。

実に、介護をしている人の4人に1人が「うつ」にあり、それは、介護をしていない人の3倍も発生確率が高いと考えられるのです。特に、他の家族や親戚から協力が得られない、孤立した介護者が「うつ」になる可能性が高いということも、わかっています。

「うつ」とはなにか

「うつ」の症状は、やる気がでない、悪い方向に考えてしまう、重苦しいといった「気分の落ち込み」だけではありません。身体の痛み、寝付きの悪さといった「身体の重さやつらさ」なども「うつ」の症状として知られています。

大事なポイントは、「うつ」は、気力で解決できたりするものではないということです。医学的には、「うつ」は、脳の働きに何らかの問題が生じた結果としての病気と考えられています。ここは、一般にも「気合が足りないからだ」といった誤解の多い点なので、注意が必要です。

介護者が「うつ」になると

介護者が、介護の負担から「うつ」にある場合、そうでない場合に比べて、6.9倍も、死亡・要介護度状態になりやすいという報告があります。そもそも、介護者が要介護者になってしまうとするなら、その先の介護は続けられなくなってしまいます。

とにかく、介護者としては「うつ」を生み出してしまう環境を改善することが大事であり、待ったなしの危機だということです。特に、認知症の介護は、介護者のストレスがより大きいと言われています。要介護者に認知症がある場合は、介護者はかなり注意する必要があります。

「うつ」になりやすい性格的な特徴

新潟県糸川市が出しているうつ病対応マニュアルから、「うつ」になりやすい性格的な特徴について、引用してみます(一部KAIGO LABが加筆修正しています)。ここから、介護者のリスクが高いと感じられるなら、普通以上の注意が必要になるでしょう。

(1)自分より相手を優先する人;人に何か頼まれると断れない、言いたいことがあっても遠慮する
(2)几帳面、責任感が強い、仕事熱心;なんでも完璧にこなそうとする、自分ひとりで抱え込む
(3)優先順位がつけられない;複数の仕事を抱えたとき、全てを完璧にこなそうとする
(4)秩序を重んじる;状況が変わると柔軟に対応できない、ペースが乱されることを嫌う
(5)気持ちの切り替えができない;ちょっとした失敗をいつまでも引きずる
(6)周囲の評価を気にする;他人の目を気にするあまり、思うように行動できない

あぶないかな、と思ったら

「うつ」に対しては、まずは、1人の介護者に過度なストレスが加わらないように予防することが大事です。とはいえ、介護の現実は、そんなことを言っていられない場合も多く、「うつ」になってしまうこともあるかもしれません。そのときは、とにかく早期発見と治療が大事になります。

あぶないかな、と思ったら、医師の診察と治療を受けることが鉄則です。素人判断はせずに、医師と連携しながら、状態をよくしていくことが求められます。自分自身の観察も大事ですが、介護に関わる周囲の人の中にも「うつ」がないか観察し、あぶなく感じられる人がいれば、対応していくことも大切です。

とにかく、介護は1人でこなせるものではありません。1人で抱え込み、介護でも完璧主義を貫こうとし、気分転換ができない状態は、かなり危険です。介護のプロや、周囲の人の助けを借りながら、自分でできる範囲で、気分転換もしながら関わるようにしたいところです。

※参考文献
・横山美江, 『在宅要介護老人の介護者における蓄積的疲労度と上気道感染易罹患性および受療状況について』, 日本看護研究学会雑誌 20(1), 1997年
・平松誠, 近藤克則, 『家族介護とうつ,死亡・要介護状態発生との関連』, 日本社会福祉学会(第58回秋季大会)
・糸魚川市うつ病対応マニュアル作成委員会, 『高齢者におけるうつ病対応マニュアル』, 平成21年2月
 

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