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ハッピーターン、あの粉が美味しいですよね。介護とハッピーターン!(ニュースを考える)

ハッピーリターン制度

亀田製菓のハッピーリターン制度

あの粉が病みつきになる「ハッピーターン」でおなじみの亀田製菓が「ハッピー『リ』ターン制度」の運用を発表しました。要するに、一度退職した人材でも、復帰を希望すれば復帰できる可能性を明確にした制度です。以下、プレスリリースからの引用(太字はKAIGO LABによる)です。

「ハッピーリターン制度」とは、結婚、妊娠、出産、育児、介護、看護、私傷病、配偶者の転勤などにより退職した従業員に対し、復職する機会を優先的に設けることにより、多様な働き方を支援することを目的とした制度です。

社会背景として、労働人口が減少し、多様な働き方を認めることが会社成長のために必要であり、要介護人口の増加や保育所の不足などで、優秀な人材が離職するリスクが高まっています。その反面、育児や介護などの理由で退職した社員が再就職するには厳しい環境となっているのが現実です。

そこで、亀田製菓は社員のワークライフバランスを尊重し、ライフステージ合わせた、働き方の選択肢を拡げるために「ハッピーリターン制度」(退職者復帰登録制度)を新設いたしました。

制度の中身をよく読んでみると・・・

まず、この制度の対象となるのは「勤続3年以上で、結婚、妊娠、出産、育児、介護、看護、私傷病、配偶者の転勤の事由により退職した社員」です。ここでは、まず「勤続3年以上」というところに、運用上のノウハウがありますね。入社していきなりこの制度を利用するという話になると、トラブルになりやすいからです。

次に、この制度への応募条件です。「退職後6年以内で、心身ともに健康であり、希望する勤務地に通勤できる場所に居住している」ことが、応募条件になっています。「退職後6年以内」という上限は、そもそもかなり長めですね。ここには、上限が必要かどうかという議論があったことが伺えます。とりあえず上限を設定しておいて、まずは運用してみようという意図が見えます。

リターンの可能性があるとはいえ、書類審査と採用面接が実施されます。ここはやはり、誰でも、どのような条件でも再雇用というわけではない厳しさも見えます。辞めた後も、介護などをしながらも、語学の勉強や資格の取得をする必要があるということでしょう。

最後に、雇用条件は、再雇用時にまたあらためて審査されるということです。制度上は「本人の能力、状況に応じ決定する(一定期間を経て正社員登用あり)」となっています。本人の能力は、退職前の勤務実績も入るのでしょう。また、すぐに正社員登用ということではなく、はじめは契約社員的な位置からの再スタートになる可能性が高いことがわかります。

プレスリリースから見え隠れする本音

こうして、制度の中身をよく読んでみると、実際には「再雇用の可能性がありますよ」というアナウンスにとどまっていることがわかります。結局、書類審査と採用面接をするのですから。ここからは、亀田製菓が、まだ介護を理由とした退職が、経営にどれほどのインパクトがあるのかをはかりかねているように読めます。

そもそも、極端に言えば、優秀な人材であれば、どこの会社でも「出戻り」することはできるわけです。その意味では、この制度のアナウンスは、どこの会社でもあり得ることを、あえて制度として発表しています。亀田製菓のPRがうまいということです。

このPRによって、亀田製菓は人材を大事にする会社という印象ができます(実際にそうなのでしょう)。社内外に対して、まずはこうして、自社の考え方をきちんと示すことが大事です。なぜなら、こういうことは「言霊」であり、いずれその理想は実現されるからです。

ハッピーリターン制度は、人事上、上手にリスクをカバーしている制度です。しかし、だからダメということにはなりません。これは「この大変な山に登る」という宣言であり、そこには尊敬すべき勇気があります。今後、この制度は、運用経験とともに、より使いやすい制度になっていくでしょう。

亀田製菓に続きましょう!

誰でも再雇用されるわけではないのですから、これと同様な制度であれば、どこの会社でもすぐに作ることができます。そして、今のうちに発表しておくことです。そして、現実にその理想が達成されるように、亀田製菓をお手本に「有言実行」を目指しましょう。

これから、超人材難の時代になります。そのとき、交渉力を持つのは人材のほうです。これからの人材は「その会社の介護に対する考え方」を調べて、そこの会社にエントリーするかどうかを決めるようになっていくでしょう。そうしたとき、今回の亀田製菓のようなPRをしているのと、そうでないのとでは必ず差が出ます。

※参考文献
・亀田製菓プレスリリース, 『多様な働き方を支援するため「ハッピーリターン制度」(退職者復帰登録制度)を導入』, 2015年11月2日
 

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