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高齢者利用を想定した自動運転の実証実験(岐阜県郡上市)

高齢者利用を想定した自動運転の実証実験(岐阜県郡上市)

過疎地が高齢化するということ

過疎化が進む地域では、自動車が、生活のインフラになっています。自動車がなければ、仕事をすることはもちろん、日々の生活のための買い物をすることもできないからです。そうした状況にあっても、日本には整備されている道路網があるため、これまでは、大きな問題にはなりにくかったのです。

しかし、過疎化に加えて、高齢化の波は、ここにもう一つ大きな問題が加わったのです。高齢化による免許返納の波です。自動車がなければ生活できない地域で、免許返納が必須となれば、実質的に、その地域には住めないということになります。

しかし、高齢者にとって、住みなれた地域を離れることは、健康上、大きなリスクがあります。リロケーション・ダメージと言われるもので、住みなれた地域を離れることで、要介護リスクが高まってしまうのです。

自動運転車の最前線としての過疎地

必要は発明の母(necessity is the mother of invention)と言います。しかし自分で運転できる人にとっては、自動運転車は必要ありません。また、免許返納をした人であっても、公共交通の発達している都市部に暮らす人にも、自動運転車は必要ないでしょう。

自動運転車が必要なのは、過疎化と高齢化が同時に進んでいる地域です。そうした地域は、実質的に、自動運転車の最前線になりつつあります。以下、岐阜新聞(2019年3月3日)より、一部引用します。

自動運転車による移動サービスの実証実験が2日、岐阜県郡上市の明宝地域で始まった。道の駅「明宝」を拠点に高齢化が進む中山間地の集落での「交通弱者」の移動手段や物流網の確保を狙いとした東海地方では初の実験。国は2020年までに過疎地での自動運転車の実用化を目指しており、安全性や利便性などを検証する。8日まで。

実証実験は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)として、国土交通省や同市、地元関係団体でつくる「道の駅明宝を拠点とした自動運転サービス地域実験協議会」が実施。高齢者を病院などへ送迎する日常的な生活支援、買い物困難者への日用品配送、道の駅への農産物出荷などでの利用に備え課題を見極める。(後略)

これほど産官学の連携が求められる分野も少ない

自動運転車の実現には、メーカーの努力が必要なのは当然です。しかし、事故などが起った時の対応も含め、法律の整備と実運用には、官僚の大きな働きが必要になります。さらに、自動運転車が高齢者の生活に与えるネガティブな側面の理解には、第三者となれる大学の参加が必須でしょう。

まさに、産官学が連携することでしか実現されていかないのが自動運転車なのです。そうした高度な連携が、徐々にではありますが、過疎化が進む地域での実証実験として走り始めています。

こうした実験結果からは、様々な課題が出てくるでしょう。しかし、そうして見つかる課題がふえる分だけ、自動運転車の存在する未来は近づいてきます。自動運転車が普通に利用できる未来は、必ずやってきます。それが少しでも近未来になることを、多くの人が願っています。

※参考文献
・岐阜新聞, 『「高齢者の足」確保へ期待 自動運転の実証実験』, 2019年3月3日

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