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卒業後はどうなるの?介護福祉士の養成学校

卒業後はどうなるの?介護福祉士の養成学校

仙台大学体育学部健康福祉学科の卒業生の追跡調査

仙台大学体育学部健康福祉学科は、介護福祉士の国家資格が取得できる養成校です。この学校の卒業生の追跡調査が、論文になっています(堀江, 福田, 2018年)。アンケート調査で、回収できた数がそれほど多くない(男性50名、女性58名)点は残念ですが、結果は参考になります。

「介護職に就職し、現在も介護職」と回答した人は32.7%でした。「介護職に就職したが現在は別職種」と回答した人は24.5%でした。そして「別職種に就職し、現在も別職種」と回答した人は29.1%でした。この3つで86.3%と、ほぼ全員の進路がわかります。

卒業時に約6割(57.2%)が介護業界に就職するというところは、昨日の記事とした介護業界への就職希望者が6割という現役学生の調査と一致しています。しかし、そうして介護業界に就職しても、そのうちの約半数が介護業界を去ってしまっています。

介護業界を離れた理由は・・・

介護業界を離れてしまった人の理由は「新しい資格を取得した」という人が30.0%と最も多かったようです。ただ、その理由はわかりません。おそらくは「収入が少なかった」という人26.7%や「将来の見込みが立たなかった」という人23.3%と同じ理由から、別の資格を取得して介護業界を離れたのかもしれません。

ただでさえ減っている、介護福祉士の養成学校の生徒が、卒業後に、そもそも介護業界に就職しなかったり、就職してものちに介護業界を離れていたりするのです。介護人材が足りないことを考えると、これは大きな社会的損失であることは明らかです。

せめて、こうした追跡調査をしている学校を応援し、施策をうち、その効果を検証していくという当たり前のPDCAを進めてもらいたいです。また、結果のよい学校の事例を研究し、その横展開も進めないとなりません。そうしたことを専門的に行っている担当者が存在することを祈りますが、おそらくは、いないのでしょう。

ドイツのように養成校の学生に手当を出すために

ドイツの場合、介護の専門性を学ぶ学生の学費は無料であるだけでなく、給与のような手当が出されています。日本でも、そうした対策がなされることを望みますが、その前に、学校を卒業した人材が、きちんと介護業界に就職しないと、投資されるお金が無駄になってしまいます。

もちろん、進路は個人の自由であり、職業選択の自由は保証されるべきです。しかし、専門性を獲得させるために慎重に検討されたカリキュラムを終えた学生の、約3割しか、その専門性が求められる業界に定着しないのは「穴の空いたバケツ」でしょう。

「穴の空いたバケツ」になってしまっている介護業界には水を注ぐ前に、そこに空いた穴を塞がないとなりません。その穴とは、介護業界の待遇問題であり、将来の見通しが立たないという問題です。ここの問題が改善されない限り、ドイツのような制度を導入することはできないのです。

※参考文献
・堀江 竜弥, 福田 伸雄, 『学会等報告 介護福祉士資格を取得した卒業生のキャリアに関する調査(速報)』, 仙台大学紀要 50(1), 17-23, 2018-09

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