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高齢者向けであることを主張すると、高齢者は逃げていく?

高齢者向けであることを主張すると、高齢者は逃げていく?

シルバーシートをめぐる難しさ

シルバーシートと一般の座席、どちらも空いていたとします。あなたが65歳だとしたら、どちらに座りますか?このとき、わざわざシルバーシートに座る人は少ないと思われます。そのときシルバーシートを選ぶと、なんだか、一般社会から社会的弱者のレッテルを貼られたような気分になるからです。

そもそも、シルバーシートを示すマークの中には、腰を曲げて杖をついているという、ステレオタイプなものがあります。そうしたマークに不快感をおぼえる高齢者もいるはずです。マークをデザインした人は、高齢者ではなかったのでしょう。

こうしたシルバーシートをめぐる難しさは、世間一般に見つけることができます。高齢者の数は増えるわけで、企業としては、高齢者向けの製品を増やしていくのは自然な流れです。ただ、そうした製品の販売において、それが高齢者向けであることを主張すると、かえってうまくいかない可能性があるのです。

高齢者向けのフリーペーパーは失敗する?

よくあるビジネスモデルのひとつとして、フリーペーパーというものがあります。無料の新聞・雑誌という形式をとっており、無料によって読者数を確保しつつ、企業に広告枠を販売することで利益をあげるというものです。

そして『◯◯シニアライフ』といったフリーペーパーは、生まれては消えていくことを繰り返しています。要するに、うまくいかないのです。その新聞・雑誌に対する高齢者の反応が、まさにシルバーシート的なものになるからです。

高齢者が集う場所として整備されてきた韓国の敬老堂が、近年うまくいっていない背景もまた、それがシルバーシート的なものだからでしょう。そこに行くと、実際の年齢以上に歳をとってしまうというのも、うなづけます。

単なる年齢差別になってしまってはいないか?

よかれと思ってした決断であっても、結果に責任をもつのが大人の社会です。高齢者向けであることを主張するとき、そこにはパトロナイジング・コミュニケーション(相手を見下したようなコミュニケーション)が紛れこみやすいことは、どうしても認識しておく必要があります。

自分が高齢者でない人が、高齢者のための製品を考える場合は、どこかの時点で、高齢者から意見をもらったほうが無難です。高齢者であることは、それだけで、支援や手助けが必要ということにはなりません。それは単なる年齢差別にもなってしまいます。

きちんと考えていかないと、今後、あらゆる交通機関において、ほとんどの座席がシルバーシートになりかねません。シルバーシート的な製品は、いかにそれが優れていたとしても、コミュニケーションのところで失敗しやすいことを、よくよく認識しておく必要があるでしょう。

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