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パトロナイジング・コミュニケーション(patronizing communication)

パトロナイジング・コミュニケーション(patronizing communication)

パトロナイジング・コミュニケーション(patronizing communication)とは?

パトロナイジング・コミュニケーション(patronizing communication)とは、直訳すれば「相手を見下したようなコミュニケーション」という意味になる言葉です。特に高齢者と関わる医療や介護の領域では、このパトロナイジング・コミュニケーションが発生しやすいと考えられています。

とくにありがちなパトロナイジング・コミュニケーションとしては「高齢者だから耳が遠いだろう」と勝手に思い込んで、高齢者と話をするときは大きな声を出すようなケースです。高齢者の側からすれば、そうして常に大きな声を出されると、どこかバカにされたような気持ちになる人もいるわけで、注意が必要です。

このパトロナイジング・コミュニケーションについて「高齢者に対していつも大きな声で話しかける」ことが、高齢者にどのような影響を与えるかに関する調査結果(川原田, 2018年)があります。今回は、その結果について考えてみます。

高齢者とよく話をする人は、無理に大きな声で話していない

まず、この調査結果で重要なのは、高齢者からして、話しかけやすい人は、声の大小によらないという部分です。むしろ、大きな声で話をしない人とのほうが、話がしやすいという結果になっています。声の大小は、重要な要素ではないのです。

その上で興味深いのは、普段からよく高齢者と話をする人は、無理に大きな声で話をしていないという部分です。実際に高齢者と話をしてみればわかることですが、高齢者だからといって、特別にコミュニケーションのスタイルを変える必要はないのです。

もちろん、耳が遠くて、聞こえづらい高齢者に対しては、普通よりも大きな声を出すことになります。しかし、高齢者だからといって、全員が耳が遠いわけではありません。逆に、高齢者ではなくても、耳の聞こえにくい人は多数いるわけで、そこは相手に合わせて考えていく必要があるでしょう。

高齢者に対していつも大きな声で話しかける人の分析

この調査結果では、高齢者に対していつも大きな声で話しかける人は、高齢者の能力についてネガティブな先入観を持っていることがわかりました。やはり、高齢者に対していつも大きな声で話をする人は、パトロナイジング・コミュニケーションをしている可能性があると考えられます。

もちろん、この調査結果だけで、すべての人がそうだと言い切ることはできません。ただ「高齢者だから、こうだろう」という先入観の多くはネガティブなものであり、それは、個別の人間と向き合うこととは違うということは、強調しておくべきところでしょう。

相手の状態に合わせて、こちら側のコミュニケーションを調整するのは大事なことです。しかしそれは、相手に対する先入観によって調整するのではなく、その相手の事実に合わせて調整するものです。ここを間違うと、そこにはパトロナイジング・コミュニケーションが出現してしまいます。

※参考文献
・川原田 知美, et al., 『看護学生の看護援助における高齢者への言葉掛けに対して高齢者に抱く認識が与える影響-高齢者を受け持った経験のある看護学生へのアンケート調査を用いて-』, 卒業研究抄録集(旭川医科大学・看護学科) 平成30年度, 15-16, 2018-12

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