閉じる

キレやすい高齢者?人間の攻撃性に影響を与える要因が判明

キレやすい高齢者?人間の攻撃性に影響を与える要因が判明

攻撃的になる高齢者?

高齢者が攻撃的になるという話は、よくききます。切れやすい高齢者という文脈で、ニュースになることも増えてきました。この背景としては、現役時代には満たされていた自尊心が、現役引退後に満たされなくなることが原因とされることが多いようです。ただ、ここに科学的な根拠はありません。

特に、攻撃性というのは、高齢者にのみ見られるものではなく、子供の世界でも、いじめという現象に代表されるような攻撃性が観察されることは気になります。なにか、人間の攻撃性にスイッチを入れる要因があるのではないかと感じるのも当然のことでしょう。

人間の攻撃性を抑制することができれば、攻撃的になる高齢者だけでなく、大きな視点では戦争の抑止にもつながるかもしれません。それだけ重要なテーマを、ただ単に、自尊心が満たされないことに着地させてしまうのは、さすがに安易でしょう。

社会的不安が攻撃性につながっている

人間が攻撃的になる要因について、研究者が、新たな実験方法を考案し、人間の攻撃性について、ひとつの重要な仮説を導き出しました。以下、PC Watchの記事(2018年12月27日)より、一部引用します。

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、攻撃行動への加担を調べる手法を考案し、人が攻撃に加担する程度と、その人の社会的不安傾向に相関することを見出したと発表した。(中略)

対人反応性指標用いて被験者への質問を行なったところ、攻撃への同調の程度は、「非常事態では不安で落ち着かなくなる」、「感情的になっている場面で何をしたら良いか/差し迫った助けが必要な人を見ると混乱してどうしたら良いかわからなくなる」といった個人的苦痛(社会的不安)との相関が見出された。

加えて、従来のいじめに関するアンケート調査で繰返し重要と指摘されてきた、「他者が困っているのを見て気の毒に思わない」、「他者が不運な目にあっていることがそれほど気にならない」といった共感性(共感的関心)の低さは相関しなかった。(後略)

共感性の欠如は攻撃性の原因ではないかもしれない

私たちの多くは「そんなことをされたら、相手がどう思うかを想像しなさい」という教育を受けてきました。これは、共感性を養うことが、攻撃性を抑止し、優しい社会を作ると信じられてきたからです。しかし、先のニュースでは、この共感性と攻撃性には相関していない可能性が示されています。

攻撃性には「不安で落ち着かない」「何をしてよいかわからない」といった社会的不安が影響するという仮説は、とても重要なものです。こうした社会的不安を抑止することができたら、攻撃性の犠牲になっている人々が救われるだけでなく、攻撃性にとらわれてしまっている人々もまた救われるからです。

キレやすい高齢者というのも、背景には「これからどう生きていけばよいかわからない」「何をすればよいかわからない」といった社会的不安があるかもしれないのです。このほうが、自尊心が満たされていないということよりも、どこか納得感があります。

ベーシックインカムを推進すべき理由の一つになるのではないか

もちろん、この仮説がどこまで人間の真理に近づいているのか、検証は必要です。同時に、社会的不安を減らすことは、この検証と同時並行で進めても問題のある話でもないでしょう。

多くの人にとって、社会的不安の大きな原因のひとつになっているのは、金銭的な不安です。「仕事がなくなったらどうしよう」「貯金が底をついたらどうしよう」といった不安は、現代社会を広く覆っている、ほとんど万人に共通するものでしょう。

年齢や性別、仕事の有無に関わらず、日本に暮らしている人であれば、毎月定額(7〜10万円程度)のお金がもらえるというベーシックインカム制度は、こうした不安を一掃してくれるものです。こうした制度が実現したら、社会から攻撃性が(かなりの程度)消えるというのは、直感では正しいように感じます。

※参考文献
・PC Watch, 『人が攻撃行動に加担してしまうのは「社会的不安の高さ」が理由』, 2018年12月27日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由