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薬剤耐性菌の問題は、特に高齢者にとって深刻になってきている

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病院で広がるスーパーバグ(超微生物)

病院では、多くの感染症が治療されています。そうした治療には抗生物質などの薬剤が使われています。この環境は、実は、感染症の原因となる細菌(微生物)の進化をはやめてしまうのです。細菌にとって厳しい環境である病院だからこそ、そうした環境を通り抜ける強力な細菌が生まれるという構造です。

厳しい環境だからこそ、生き残ることができる細菌は少数になります。しかし、そうして生き残った細菌だけが、子孫を残していけば、どうなるでしょう。この場合、厳しい環境に適応できる遺伝子が、むしろ強化されていくことになります。イタチごっこは、イタチを完全に駆除できない場合、怪物を生み出してしまうのです。

そうした背景から、現代の病院では、あらゆる抗生物質に対して耐性をもっている細菌(薬剤耐性菌)が増えてきていると考えられています。そして、そうした細菌の中には、感染すると重症化しやすいものも生まれている可能性が高いのです。特に、こうした怪物化した細菌を特にスーパーバグ(超微生物)と言います。

高齢者が病院に行くということ

恐ろしいことですが、病院は、地球でもっとも危険な場所のひとつにさえなりつつあります。そして高齢者の場合、こうした細菌に感染すると重度化しやすく、最悪は死に至ることもあります。

あくまでもヨーロッパでのケースですが、こうした懸念が、かなり顕在化してきているのようです。2015年には、このスーパーバグによって、3万人以上が亡くなったというのです。以下、AFPの記事(2018年11月7日)より、一部引用します。

欧州連合(EU)域内では2015年に薬剤耐性菌が原因で3万3000人以上が命を落とした。今週発表された最新の研究論文で明らかになった。抗生物質が効かないスーパーバグが「現代医療を脅かしている」と、論文は警鐘を鳴らしている。(中略)

分析の結果、2015年には67万人以上がこれらの薬剤耐性菌による感染症に罹患し、うち3万3110人が感染症が原因で死亡したと推定されることが分かった。(中略)感染による死の大半は、生後12か月未満の乳児と65歳以上の高齢者の間で発生したとみられる。(中略)3分の2近くが病院内で発生したと指摘された。(後略)

病院の分散と在宅診療の推進が急務

病院が感染源となるパンデミックの危険性が高まっています。今回ニュースになっているスーパーバグもそうですが、猛毒化した鳥インフルエンザなども、かなり以前から警戒されてきました。

これは地震災害と同じで「起こるか起こらないか」という問題ではなく「いつ起こるか」という問題です。そのための警戒は、個別ではなく、社会レベルでの啓蒙活動とセットである必要があるでしょう。

その意味では、いまのように総合病院に患者が集中するようなあり方は正しくありません。地域の小さな病院が連携し、バーチャルに総合病院として機能するような、分散型の医療システムが構築されていく必要があるでしょう。

また、在宅介護の増加に合わせて、そもそも病院に行かない在宅診療も増えていくことが重要です。結果論ですが、在宅介護が進んでいくということは、パンデミック対策にもなっているわけです。

※参考文献
・AFP, 『薬剤耐性菌感染、2015年欧州で3万3000人死亡 研究』, 2018年11月7日
・AFP, 『超強力な多剤耐性菌、世界の病院でまん延 豪研究』, 2018年9月4日

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