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免許返納後に、無免許運転が増える?よくないループが動き始めている

免許返納後に、無免許運転が増える?よくないループが動き始めている

免許返納は進んでいるが・・・

高齢者による免許返納は、自治体の努力などもあって、それなりに進んできています。免許返納をした高齢者には、公的な交通の利用に対して助成金が出るなど、様々なサポートがあります。しかし、そうしたサポートが満足に受けられるのは、あくまでも、公的な交通手段が整備されている都市部だけです。

よく知られていることですが、現役を引退している高齢者が、社会とのつながりを失ってしまうと、認知症のリスクが上がってしまいます。免許返納は、都市部に暮らしていない高齢者にとって、認知症のリスクと直結しているのです。

恐ろしいのは、免許返納→認知症を発症→免許返納を忘れて運転してしまう→事故、という流れです。そうした流れが、現実のものになりつつあります。以下、産経ニュースの記事(2018年11月4日)より、一部引用します。

高齢を理由に車の運転免許証を自主返納した80代男性が9月、兵庫県内の自宅近くで車を運転したとして、道交法違反(無免許運転)の疑いで兵庫県警に摘発されたことが4日、捜査関係者への取材で分かった。男性は返納後わずか3カ月で摘発され、認知症の疑いがあると判明した。(中略)

免許返納後の高齢者が無免許運転するケースは各地で相次いでいる。(中略)認知症を理由に免許取り消しや停止処分を受けた高齢者は昨年1年間で延べ3084人に上り、前年の約1.6倍に増えた。(中略)地域交通サービスに詳しい近畿大理工学部の柳原崇男准教授は「免許返納後、高齢者が生活の足を手放すことで自宅に引きこもりがちになり、認知症が進んでしまうケースも多い」と指摘。

交通手段が取り上げられてしまうことのリスク

結局のところ、免許返納は、自分で運転する自動車に代わる移動手段の整備とセットでないと、機能しないのです。免許返納と合わせて、所有していた自動車を売却してしまえば済む話ではありません。認知症を発症し、歩いてでも、どこかに迷い込んでしまえば、大きな事故(いわゆる徘徊事故)にもつながりかねないからです。

では、過疎化が進む地域へも、バスやタクシーを整備できるかというと、そのような財源は、もはや多くの自治体には残されていません。そうなると、残されている手段は、過疎地に暮らす高齢者に、都市部に移住してもらうことになります。しかしそこにも、リロケーションダメージによる認知症の発症というリスクが隠れています。

免許を必要としない、完全な自動運転の自動車が登場するまで、この状況は、どこまでも悪化していくしかないのでしょうか。逆に、そうした自動運転の自動車は、いつごろ、実用化されるのでしょう。なんとか、実用化を急いでもらわないと、近い将来、どうしても、大きな事故が発生してしまいます。

政治家には、なんとしても頑張ってもらいたい

政治とは、本来、利害の対立があるところでこそ求められ、威力を発揮するものでしょう。であるならば、高齢者をめぐる自動車の運転は、高度に政治的です。本質的には、免許を持たない人であっても活用できる自動運転の自動車を、できる限り早く実用化させることです。

しかし、そうした自動車が登場してしまうと、自動車免許に関わる仕事がなくなり、タクシーやトラックなどのドライバーもまた職を失います。自動車メーカーも、自動運転の自動車が事故を起こした場合の責任がある限り、これを簡単には勧められません。

自動運転の実用化によって不利益を被る人が多数いるわけです。現代日本の政治家には、こうした人々になんらかの補償をしつつ、1日でも早く、完全な自動運転を実用化させるという大きな仕事があります。私たちは、そうした政治家を応援していかないとならないでしょう。

※参考文献
・産経ニュース, 『高齢者が免許返納後運転、摘発相次ぐ “足”手放し…』, 2018年11月4日

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