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ALSの治療にあらたな光?既存の薬に効果が発見された

ALSの治療にあらたな光?既存の薬に効果が発見された

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは?

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、Amyotrophic lateral sclerosisの略称で、筋肉の萎縮をともなう筋力低下を起こす難病(神経性疾患)です。現在のところ、有効な治療法は見つかっていません。先に亡くなった世界的な物理学者スティーブン・ホーキング博士が長年にわたって共生していた病気としても有名です。

このALSにかかってしまうのは、人口10万人当たり約1〜2.5人とされています。日本の場合、全国で約9,200人が、このALSの患者として認定されています。それほど数の多い病気とは言えませんが、しかし、いったんこの病気になってしまうと、介護をはじめとして、様々な支援が必要になります。まさに難病です。

ALSに限りませんが、患者の数が多くない病気は、マイノリティーとして、治療や支援の輪が広がりにくい傾向があります。しかし、そうした病気にかかってしまった人からすれば、そうしてマイノリティーとされてしまう状況自体が敵であり、なんとか、その病気について広く知ってもらうことが必要にもなるでしょう。

なお、KAIGO LAB SCHOOL第1期生の水澤弘之亮(みずさわ・こうのすけ)は、このALS介護の専門家です。ALSに特化した介護を提供しており、それで起業もしています。KAIGO LABも、この活動を応援しています。

iPS細胞を用いた研究がALS治療への光を!

ノーベル賞受賞者である山中伸弥教授らが研究してきたiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた研究は、まさにこれから、多くの成果をあげていくことになります。そうした成果の一つとして、ALSに有効に働く薬が見つかったというニュースが入っています。以下、朝日新聞の記事(2018年10月14日)より、一部引用します。

iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って病気の状態を再現し、薬の候補を探す「創薬」により、パーキンソン病の既存薬が筋萎縮性側索硬化症(ALS)に効くことを、慶応大などのチームが発見した。13日、東京都内であった再生医療のシンポジウムで、同大の岡野栄之教授が公表した。(中略)

岡野教授らのチームは、血縁者に患者がいる家族性ALSの患者から採取した細胞から作ったiPS細胞で、病気の状態を再現。約1230種の薬を試し、パーキンソン病の既存薬のロピニロール塩酸塩で効果を発見した。(中略)

ALSの原因は不明だが、患者の神経細胞に特定のたんぱく質が蓄積することなどが症状を引き起こす要因と考えられている。今回の薬は、たんぱく質の凝集を抑えたり、細胞死を減らしたりする効果が確認された。進行を遅らせたり、根本的な治療に役立ったりする可能性がある。(後略)

マイノリティーにとっての希望

今回ニュースになっているケースもそうですが、iPS細胞のように、様々な病気の治療につながる根本的な成果があると、マイノリティーであっても、そこからの恩恵が受けやすくなります。すでにiPS細胞を扱っている研究は、進学校だと、中高生でも研究をしているような状態です。

研究というのは、他の人がまだ行っていない分野に突入することが、大きなチャンスにつながるという性格をもっています。その意味で、マイノリティーにも光が当たりやすい状態がうまれているとも言えるのです。あらためて、山中教授らの研究が、いかに重要なものであったかが確認されます。

同時に、こうしたニュースにありがちなことですが、これは難病治療の入り口にすぎず、実際に有効で安全な薬が市場に出回るまでには、まだ相当な時間がかかります。難病に苦しむ人にとっては、少しでも早い実用化が待たれるとこですが、そこへの道のりは単純ではありません。

現代の理系人材と言えば、その多くが、IT業界に就職してしまいます。しかし、この社会は、誰かが見つけた重要な理論に基づいて新薬を実用化していくような理系人材もまた必要としています。そうした人材は、ノーベル賞を取ることはまずありません。だからこそ、そうした人材は、社会で応援していきたいものです。

※参考文献
・朝日新聞, 『iPS細胞使って発見、既存薬がALSにも効果 慶応大』, 2018年10月14日
・難病情報センター, 『筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)』

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