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介護福祉士の養成校、入学者数が過去最低に

介護福祉士の養成校、入学者数が過去最低に

介護福祉士の養成校での定員割れの状況

介護の現場で仕事をする介護のプロとして、最上位の資格に、介護福祉士というものがあります。介護を必要とする要介護者の急増に伴って、この介護福祉士への期待も高まっているのが実情です。

しかし、そんな介護福祉士を養成する学校の入学者数は、かなり前から定員割れをしています。定員に対して、2012年には76%、2016年には50%にまで下落しました。そして今年は、44%という報道がなされています。以下、読売新聞の記事(2018年9月12日)より、一部引用します。

介護現場で指導的役割を担う介護福祉士を養成する学校への今年度の入学者数が過去最低を更新する一方、外国人留学生が倍増し、全体の約6分の1を占めることが、日本介護福祉士養成施設協会(東京)の調査でわかった。(中略)

協会が介護福祉士の養成課程がある全国の大学や専門学校など365校について調査、集計した。今年度の入学者数は6856人と5年連続で減少し、定員に対する割合(定員充足率)は44・2%にとどまった。

外国人留学生は前年度の約2倍の1142人に急増し、入学者全体の16・7%を占めた。出身国も20か国からと多様化し、ベトナムが542人で最も多く、中国(167人)、ネパール(95人)が続いた。(後略)

この報道だけを読むと、外国人が増えてきているので、大丈夫という印象も持つかもしれません。しかし、これを逆の視点から読み解けば、介護福祉士になりたい日本人は、かなり急激に減っているという事実が見えてくるのです。

外国人が増えていても過去最低という事実から

介護の人手不足を、外国人の労働力で補おうという動きは、かなり以前からあります。これを受けて、介護を学ぶ外国人の学生は5年で30倍といったペースで増えています。しかしそれでも、2025年には38万人という規模で足りないのが、介護人材の現状なのです。

なかなか、まだ介護に関係のない人には響かないのですが、介護というのは、誰もが、いつかは必要になるものです。そうしていざ、自分や自分の親に介護が必要となったとき、それを支えてくれるプロの介護職が足りないという状況になれば、介護は、自分でなんとかするしかなくなります。

問題は、介護というのは、素人が、自分でなんとかできるものではないということです。専門性が求められる仕事だからこそ、養成学校が存在していることを忘れるべきではありません。「介護は誰にでもできる仕事」というのは、まったく正しくありません。ここも、実際の介護を経験してみないと、なかなか見えないところが難しいのです。

このまま行くと、どうなるのか

この状況は、本来であれば、日本という国家レベルでの抜本的な構造改革を行わないと、解決しないのです。とはいえ、そうした構造改革は、過去になんども叫ばれはしたものの、実現したことはありません。そうなると、現実的には、このまま、成り行きで状況が悪化していくと、どのような未来がやってくるのかを想像してみる必要もあるでしょう。

まず、介護事業者にとっては、人材不足が続くことで、人材の獲得コストが上がっていきます。人材の獲得競争になりますから、人件費も重くなっていくでしょう。そうなると、収益が圧迫されますから、なんとしても、売り上げを高めていかないと生き残れません。

それでも、介護を必要とする人たちは、少しでも優れた介護のプロに来てもらいたいものです。そうなると、お金のある人は、高くてもいいから、介護のプロに来てもらおうとします。介護事業者としても、そうした顧客を持っていないと、生き残れない状況になっていくので、ここで利害が一致することになります。

住み込みの家政婦の相場は、東京圏の場合、800〜1,000万円と言います。こうした住み込みの家政婦が、介護福祉士の資格を持っていて、介護現場での経験が豊富だったりすると、引く手数多になりそうです。もちろん、介護保険はききませんが、住み込みまでは必要ないはずで、お金を持っている人からすれば、問題ありません。

この状況が生まれてしまえば、お金持ちではない人の場合、そもそも介護のプロには来てもらえなくなっていきます。お金持ちは、そんなにいないだろうと考えると間違います。日本でも二極化が進んでおり、日本における富裕層の数は、どんどん増えているからです。

このまま行くと、お金持ちだけが、優れた介護を受けることができる社会が到来します。そして、お金持ちではない人の場合、介護は、自分たちでなんとかするしかなくなるのです。しかし、自分たちでなんとかできないのが介護です。結果として、高齢者が打ち捨てられるような社会になってしまいます。

この状況を避けるためには、やはり、日本は抜本的な構造改革を進めなければなりません。その中でも、もっとも威力があると考えられるのが、ベーシックインカムの導入です。できる限り早く、本格的な議論が開始される必要があります。

※参考文献
・読売新聞, 『介護福祉士養成校の入学者が最少、留学生は倍増』, 2018年9月12日

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