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注目の認知症ケア;ユマニチュード(Humanitude)とは?

ユマニチュード(Humanitude)

認知症の人とのコミュニケーション手法がある

認知症の人は、情報の入り口が狭くなっているそうです。ですから、こちらから相手に伝えたいことがあれば、それをはっきりと、ノイズなく伝える必要があります。また、びっくりさせることは、非常によくないとされます。

たとえば、認知症の人は、視界もかなり狭くなっているため、目の高さを合わせて、正面から声をかけないと、びっくりしてしまいます。すると、怒り出してしまったり、萎縮してしまったりします。実際に、こうしたこと(BPSD)に悩んでいる人も多いと思います。

認知症ケアのコミュニケーション技法は、これまで様々なものが検討されてきました。そうした技法の一つに、フランス生まれの「ユマニチュード(Humanitude)」と呼ばれるものがあり、今、大きな注目を集めています。以下、NHK Onlineが公開している動画になります。
 

ユマニチュードの考え方

ユマニチュードは「人間とはなにか」という哲学にまでさかのぼって「ケアする人」と「ケアされる人」を考えた上で、150種以上のコミュニケーション技法として完成されています。以下、参考文献からの引用になります。

知覚・感情・言語に基づく包括的コミュニケーション法を軸とした高齢者ケア技術「ユマニチュード」(Humanitude)は,イブ・ジネスト,ロゼット・マレスコッティの両氏によって 1979 年に誕生した。150 を超える具体的な技術が,「人(human)とは何か」という哲学に基づいて体系化されているのが特徴だ。ジネスト氏の母国フランスでは現在,400 を超える医療機関・介護施設でユマニチュードが導入され,国内に 11 の支部を持つ。また,ベルギー,ドイツ,ポルトガル,ルクセンブルクなどに国際拠点を展開しており,現在日本ではジネスト・マレスコッティ研究所日本支部(理事長=本田美和子氏)の設立準備が進んでいる。

150種以上というと、とてもこなせないように感じられるかもしれません。しかし、その基本となるところは(1)見る(2)話しかける(3)触れる(4)立つ、という4つの大きな軸でできていて、学んでいくと「ああ、これは知っていた」というものも多数でてきます。

技法レベルだと、日本でも過去から行われてきたものも多くあると言われます。しかし、ユマニチュードの真髄は「認知症の患者のことを中心に考える」という視点から「認知症の患者と、それをケアする人の絆を中心に考える」というところへのパラダイムシフトを起こしているところだと思います。

ユマニチュード4つの軸について

以下、ユマニチュードの4つの軸について、KAIGO LAB編集部の解釈を述べてみます。ユマニチュードの専門家が書いたものの引用ではない点は注意してください。あくまでも、一つの意見として参照いただけたら幸いです。なお、これら4つの軸となる行動は、包括的に、可能なら同時に行うことが大事になるようです(少なくとも2つを組み合わせると効果的と言われます)

(1)見る

人間は、上から見つめられると「侮蔑」を、斜めから見つめられると「攻撃性」を感じるそうです。私たちは、認知症の相手を見つめることで、相手に「優しさ」や「安心感」を伝えたいわけです。同時に、それが相手に伝わったということも、私たちは得たいと考えています。このとき、私たちは、水平に、正面から相手を見つめる必要があるそうです。そして時間をかけて、相手の顔から20センチ程度の距離まで近づく必要があります。

(2)話しかける

話しかけるのも、自分の相手への好意が伝わらないと意味がありません。ですから、相手の近くで、目を見つめながら、相手を驚かさないように、伝えたいポジティブな言葉を繰り返す必要があります。ちょっと大げさな笑顔で、大きな身振り手振りを加えると、伝わりやすくなります。

(3)触れる

これも、相手への好意を伝えたいのですから、やさしく、寄り添うように触れる必要があります。このとき、自分は相手になにをしようとしているのか、言葉で同時に伝えることも大事になってきます。無理やり引っ張ったり、つかんだりするのはよくないようです。

(4)立つ

人間にとって、二本足で立つということは、想像以上に大事なことなのかもしれません。何事でも、とにかく相手が座ったままや、寝たままにならないように、意識して立ってもらうようにします。もちろん、生活不活発病(廃用症候群)を避ける意味もありますが、それ以上に、視界を高い位置に持ってくることには、自尊心との関連があるからだと思います。

ユマニチュードを学びたい場合

ユマニチュードを学びたい場合は、この技法の創始者と、日本におけるユマニチュードの第一人者による、とてもよい入門書があります。

ユマニチュード入門
Amazon: ユマニチュード入門

リンク先のAmazonのレビューを見ていただければわかりますが、この分野の専門書としては、価格も手頃で、ベストセラーと言ってよい書籍です。まずは、図書館で手にとってみることをオススメします。

もちろん、このユマニチュードだけで、認知症の苦しみが無くなるわけではありません。向いている要介護者や介護者もいれば、そうでないケースも当然あると思われます。それでもなお、一通り知っておいて損はない理論だと思います。

※参考文献
・週間医学界新聞, 『優しさを、伝える技術。座談会・高齢者ケアメソッド「ユマニチュード」』, 2013年12月16日(第3056号)
・日下文則, 『ボンジュール ユマニチュード 〜医療現場の認知症ケアメソッドを介護現場に〜』, 公益社団法人かながわ福祉サービス振興会
・本田美和子, イヴ・ジネスト, ロゼット・マレスコッティ, 『ユマニチュード入門』, 医学書院
 

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