閉じる

災害弱者としての高齢者、災害弱者としての日本人

災害弱者としての高齢者、災害弱者としての日本人

西日本における豪雨災害を振り返る

西日本で起こった7月の豪雨災害は、今もなお復旧作業が続いているほど、甚大な被害をもたらしました。その中で、豪雨の犠牲になってしまった人の調査分析が進んでいます。結果として、災害弱者としての高齢者の姿が浮き彫りになっています。以下、朝日新聞の記事(2018年7月13日)より、一部引用します。

西日本を中心に大きな被害が出た豪雨災害で、判明している死者のうち、朝日新聞の12日時点のまとめで年齢や死亡した状況が明らかになっている141人について調べたところ、60歳以上が100人で7割を超えた。「災害弱者」とされる高齢者が多く犠牲になっている実態が浮き彫りになった。(中略)

岡山県の12日午後2時時点のまとめでは、年齢確認中という16人を含む58人が亡くなった。このうち、川の氾濫で市街地の約3割が浸水した倉敷市真備(まび)町が50人を占め、ほとんどが溺死(できし)とみられる。真備町で亡くなった人のうち、年齢が判明している37人をみると、33人が60代以上だった。

本当に痛ましい災害です。想定外の豪雨だったとはいえ、雨ですから、早めの避難をすれば助かった人も多数いたことでしょう。とはいえ、避難するのも簡単なことではなく、特に高齢者の場合は、自力での避難そのものが不可能だった人もいると考えられます。

高齢者とは誰のことか?

このニュースだけを見ると、高齢者の暮らしている場所を把握し、災害時には特別な対応が必要という結論になりそうです。しかしここで、高齢者とはいったい誰のことでしょうか。この朝日新聞の報道は、60歳以上の人で「ひとくくり」としています。

60歳以上の人は、2018年時点で、およそ4千万人います。日本の人口が1億人を割ると考えられている2043年にも、およそ4千万人と、向こう20年くらいは60歳以上の人口は4千万人程度でほぼ一定です。人口が減少するなか、ここの層は減らないということになります。

日本人の3人に1人〜2人に1人が、60歳以上ということになります。高齢者の暮らしている場所を把握するといっても、これだけの人数を個別に把握していくのは効率的とは言えません。むしろ、日本人=高齢者として考え、日本人一般を災害弱者として環境を設計していかないとならないのでしょう。

住み慣れた地域を離れる覚悟が必要

日本人一般を災害弱者とした場合、災害に強いインフラの内側に日本人を置かなければならなくなります。今現在は現役世代として元気な人であっても、数十年のうちに災害弱者になります。そのとき、現役世代を対象として設計されているインフラでは、不十分ということになるでしょう。

では、今現在、人が暮らしているところのインフラの安全レベルを高められるかというと、そのような財源は日本にはもはやありません。そうなると、コンパクトシティーとして、現在の都市部などに、インフラ投資を集中させるしか手がなさそうです。残念ですが、多くの地方が、都市部に向けて撤退しなければならなくなります。

現在、地方に暮らしている人にとっては大きな苦痛になりますが、そうしたコンパクトシティーへの引越しをしなければ、そもそも宅配でさえ来てくれない時代になります。自給自足に近い生活をしていても、介護が必要になったとき、介護サービスが受けられなければ、暮らしていけないでしょう。

※参考文献
・朝日新聞, 『豪雨犠牲者、7割超が60歳以上 「災害弱者」浮き彫り』, 2018年7月13日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由