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現場を離れた介護福祉士が、現場に戻ってこない・・・

現場を離れた介護福祉士が、現場に戻ってこない・・・

介護福祉士という専門職が足りない

介護福祉士は、高度な介護の技術に精通している専門家です。一般にはまだ「介護は誰にでもできる仕事」と考えられている節がありますが、現実にそうであれば、介護離職など発生しないでしょう。介護は、専門性の求められる、難しい仕事なのです。

そんな介護福祉士が足りないからと、いちど介護の現場を離れてしまった介護福祉士を、介護の現場に呼び戻す施策が走っていました。しかし、その施策は失敗だったようです。以下、yomiDr.の記事(2018年7月31日)より、一部引用します。

介護分野の人手不足解消のため、国が昨年始めた介護福祉士の復職支援策が低迷している。仕事を辞めた介護福祉士を登録し、求人情報を提供して復職を促す仕組みだが、登録者は離職者の1割以下。不人気ぶりに、国の担当者は「嫌気がさして辞めた人を登録させるのは難しい」と頭を抱えている。(中略)

厚生労働省によると、登録者は今年3月末現在で約5700人。年間離職者の正確な統計はないが、「年間10万人以上いるのではないか」(同省)ということから、1割以下の人しか登録していない計算になる。(中略)

登録制度を運営する全国社会福祉協議会の担当者は、「利用者が少ないままでは登録者向けの研修も開けない」と嘆く。介護現場では、認知症高齢者や 看取みと りへの対応から、専門職の確保が必要とされている。登録制度の低調ぶりに厚労省の担当者は、「給与の引き上げや社会的地位の向上にも取り組む必要がある」としている。

厚労省も本当に必要な施策はわかっている

先の記事中にもありますが「嫌気がさして辞めた人を登録させるのは難しい」「給与の引き上げや社会的地位の向上にも取り組む必要がある」という具合に、厚労省の担当者は、問題の本質を見抜いています。本当に必要な施策がなんであるか、厚労省の担当者もよく理解しているのです。日本の官僚は優秀ですから、当然です。

問題は「給与の引き上げや社会的地位の向上にも取り組む必要がある」という本質的な課題解決に、民意がついてきていないことでしょう。厚労省も、介護業界も、本質的な課題解決がわかっているのに、その実行に必要な、民意の後押し(すなわち政治家の強いリーダーシップ)が得られていないわけです。

このツケは、自分や自分の親に介護が必要になれば、嫌というほどに味わうことになります。その時になって「日本の介護はどうなっているんだ!」と叫んでも、遅いのです。いざという時に、どうしても必要になる介護のプロを、十分に確保できなかったのは、過去の自分たちによる政治的な判断だからです。

厚労省と介護業界は世間に向けた発信をすべき

現時点では、介護を必要とする人は、国民の20人に1人程度です。その周辺で介護に関わる人を入れても、介護が日常になっているのは、10人に1人程度だと推測されます。残りの10人に9人は、介護との関わりがないし、介護に興味がないと考えなければならないでしょう。

日本の10%の人々が、その内側で、介護のプロを確保するには「給与の引き上げや社会的地位の向上にも取り組む必要がある」と叫んでいても、民意は動きません。残りの90%の人々に対して、どうやって、介護に対する当事者意識を持ってもらうのか、考えて発信をしていかないとならないでしょう。

どうあがいても、日本は民主主義国家であり、そこでは多数決が物を言います。全体の10%にすぎない勢力が、過半数の賛同を求めるために必要なのは、政治的な活動に他なりません。厚労省や介護業界から議員を生み出すことももちろんですが、とにかく、介護業界の外に向けた、より多くの発信が必要になるでしょう。

※参考文献
・yomiDr., 『介護福祉士の復職支援不発…人材登録利用、1割以下』, 2018年7月31日

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