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横浜市が介護人材としてベトナム人の受け入れへ

横浜市が介護人材としてベトナム人の受け入れへ

外国人の介護人材受け入れにも地域差が・・・

先に、日本は、ベトナムと、1万人の介護人材の受け入れについて合意したというニュースがありました。介護業界の中でも、この是非について、議論が沸き起こっています。しかしそもそも、こうした外国人が来てくれる自治体と、そうでない自治体に分かれていきそうなのです。

全国に先駆けて、横浜市は、ベトナム人の受け入れについて、より有利な付帯条件を提示しました。日本語や介護の勉強の学費負担にとどまらず、家賃補助や平均年収のガイドライン、そして奨学金の免除まで打ち出してきたのです。以下、朝日新聞の記事(2018年8月1日)より、一部引用します。

介護人材不足の本格化を受け、横浜市は介護福祉士をめざすベトナム人留学生らを受け入れ、市内の高齢者施設での就労を促す新たな制度を始める。ベトナムの2市1省と覚書を結び、留学生の学費や住宅確保などを支援。ベトナム側は学生の送り出しに協力する。(中略)

覚書に基づいて、基本的な日本語が理解できる「N4レベル」の留学生を対象に、来日後に日本語学校に1年間通学してもらい、学費は70万円を上限に横浜市と受け入れ先の高齢者施設が半額ずつ負担する。

その後に2年間通う専門学校の学費は、約8割に当たる160万円に神奈川県の奨学金を使える。市内の大規模団地の賃貸住宅を借り上げ、3万円を上限に家賃の半額を補助。修学中は、受け入れ先の高齢者施設で週28時間、アルバイトとして働く。

3年間の修学後、食事や入浴、トイレの介助などを担う介護福祉士の国家資格を取得できれば、平均年収330万円ほどの正規職員として週40時間勤務。5年間働けば、奨学金の返済が免除される。(後略)

自治体の貧富の格差が明らか似なっていく

こうした、外国人の介護人材に対してより有利な付帯条件を提示できる自治体は、それほど多くはないでしょう。残念ながら、自治体には貧富の格差があります。そしてこうした条件の提示は、財源に余裕のある自治体にしかできないことです。

財源に余裕のない自治体においては、外国人の介護人材の確保は進まないでしょう。すると、財源に余裕のない自治体では、必要な介護を提供してくれる介護人材が、ますます足りなくなります。しかし、そこへの処方箋は存在しないので、介護が必要な人は、そうした自治体を離れるしかなくなるでしょう。

そうなってしまえば、ただでさえ進んでしまっている過疎化が、さらに加速してしまいます。もはや仕方がないことなのかもしれませんが、このままでは、自治体の消滅が、想像以上に早く訪れてしまうことにもなりかねません。

本当に打ち手はないのだろうか・・・

悲しいのは、こうした外国人の教育に使われる財源は、本来であれば、まずは、税金を納めている日本人のために使われるべきものだという部分です。たとえば、日本の介護職の待遇改善のために、こうしたお金を使ってもよいはずでしょう。しかし、社会の方向は、そちらへは向かっていかないようです。

こうして介護の専門性を身につけた人材が、将来的には、母国に帰ってしまうことも問題です。それでも継続的に、外国からの人材が確保し続けられればよいのかもしれません。ですがいずれは、母国となっている国々の経済も活性化しているため、同じ待遇では、人材が日本には来てくれなくなることは明白です。

こうした外国人の受け入れについては、介護業界の中でも意見が割れています。要介護者(利用者)を第一に考えれば、外国人の受け入れは待った無しです。しかし現在の介護業界で働いている人の待遇改善という視点、そして自治体の貧富の格差という視点からは、議論が足りていないように思えてなりません。

※参考文献
・朝日新聞, 『介護の人材確保へベトナムから留学生 横浜市が覚書』, 2018年8月1日

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