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介護離職をすると、再就職がうまくいかない?

介護離職をすると、再就職がうまくいかない?

介護離職はできるだけしないほうがいい

介護離職は、いったんそれを選択してしまうと(1)経済的負担(2)心理的負担(3)身体的負担という介護の3大負担の全てが上昇してしまうことが知られています。介護の負担に耐えられずに離職を決断したにも関わらず、負担は、かえって増えてしまうことが多いのです。

この状況から抜け出すには、とにかく、再就職をするしかありません。しかし、介護をしながらの就職活動は、かなり難航するのが普通です。この難航の度合いについて、報道がありました。以下、朝日新聞の記事(2018年7月16日)より、一部引用します。

介護離職者の再就職には高い壁がある。総務省は今年6月、家族介護者らに対する調査を公表した。それによると、介護離職時に仕事の継続希望があって、就職活動をした家族介護者のうち、約6割は再就職できていなかった。

13日に公表された就業構造基本調査は、介護離職の地域差についても報告している。離職者のうち介護・看護のためという人の割合は全国平均で1・8%(2017年)。都道府県別でみると最も高いのは和歌山県(3・3%)、長野県(3・2%)、福島県・山梨県(3・0%)と続く。逆に最も低いのは東京都(1・2%)だった。

さらに介護をしている雇用者の介護日数についてのデータも示している(2017年)。仕事をしながら「週6日以上」介護をしている人が、男性で約24%、女性は約32%に達した。多くの人が仕事と介護をぎりぎりで両立させている様子がうかがえる。(後略)

介護離職の社会的損失について

介護離職をすると、個人的に大変なことになるというだけではありません。社会としても、介護離職が増えると、貴重な労働力が減ってしまうことになります。結果として、所得税からの税収が減ってしまったり、企業の収益が悪化することで法人税からの税収も減ってしまいます。

介護離職は、個人としてはもちろん、社会としてもそれを阻止しないとならないのです。しかし、社会の側からは、いまのところ効果的な支援策は出されていません。一応、介護が必要なときに仕事を休めるという制度は整いつつありますが、忙しいビジネスパーソンが仕事を休むという選択は、そうそうできるものでもありません。

社会全体として、仕事と介護の両立に苦しむ人に対して、仕事を休めるようにするのではなくて、介護の負担を軽くするような施策が必要です。具体的似は、プロによる介護サービスとのよりスムーズな連携の支援が、どうしても必要です。特に、要介護認定を受ける前の時点からの支援が求められます。

介護保険制度の最大の欠陥とは?

既存の介護保険制度の最大の欠陥は、要介護認定を受けていない高齢者に対しては、介護事業者がアプローチできないことにあります。介護業界はもちろん、厚生労働省もそれに気づいており、みんな、1円にもならないのに、そうした高齢者へのアプローチもしてきました。

しかし、いよいよ介護保険の財源が厳しくなり、倒産する介護事業者もうなぎのぼりの状態となって、こうしたアプローチをする余裕も消えてきました。そうなると、要介護認定を受けていない高齢者を親とする子供は、実質的には介護をしていても、それが本当は、介護保険制度で支援されるものであることに気づける機会が減ってきます。

この状況は、介護離職を激増させてしまうものです。今のところは、まだ、毎年10万人程度の介護離職が維持されています。しかしこれは、数年以内には爆発する可能性が高いと思っています。その背景には、要介護認定を受けていない高齢者を支援できない、今の介護保険制度のあり方の欠陥があります。

なんとか、介護保険制度を、要介護認定の申請がなくても支援がスタートされるような形に変更できないものでしょうか。介護に限らず、日本の社会福祉は、知らないと使えないという仕組みになってしまっています。本質的似は「制度の営業」が足りていないのです。

※参考文献
・朝日新聞, 『「2年間PC触っていない」介護ひきこもりになる焦り』, 2018年7月16日

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