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介護で高まる離婚リスク;妻による義理の両親の介護について知っておくべきこと

介護離婚

妻に介護を任せきりにすると離婚リスクは高まる

介護をめぐるトラブルの結果、離婚をしてしまう夫婦もあります。その少なからぬケースが、妻が、妻にとって義理の両親の介護をする場合に発生しているようです(掲示板などでみる実感値であり、統計データはありません)。

まず、妻は、妻にとって義理の両親となる人物の「法定相続人」ではありません(養子縁組をしている場合は別)。ですから、妻として、いかに義理の両親の介護をしたところで(特に遺言などがない場合は)、義理の両親が亡くなったあと、遺産をもらえることはないのです。

妻が、妻にとって義理の両親にあたる人物の献身的な介護をしたとします。そして、その義理の両親が他界したとしましょう。ここで遺言がないかぎり、その後、義理の両親の遺産は、血縁のある子供や孫、または義理の両親の兄弟姉妹などのところにだけ行くわけです。妻としては、これは、あんまりです。

「寄与分」といって、こうした状況でも、いくらかの遺産が妻のところに入るケースもあるにはあります。しかし、その金額は、遺産の何割という計算ではなく、介護サービスの料金と比較していくら(介護サービスよりも安く見積もられるのが普通)という計算になるので、実質的には大きな金額にはなりません。とても、負担にみあったものにはならないのです。

大昔の話を信じていると離婚リスクが高まる

長男の妻が専業主婦であり、介護をきっかけとして、義理の両親と同居するべきだという認識は、もはや大昔のものです。それにも関わらず、意外と多くの長男が、自分の両親の介護を、自分の妻に期待しているようです。

しかしこの誤解が、いつまでも消えない、介護をめぐる夫婦間のトラブルの原因になっています。それまでは仲のよかった夫婦でも、介護の負担によって、離婚に至るケースは現実にあります。

法律上も、長男が優先的に遺産をもらい、家督をつぐといったものは廃止されています(法律上、遺言がなければ、兄弟姉妹には平等に遺産が分配されます)。それに、義理の両親に対して妻は、法定相続人でもないことからわかる通り、その関係性は法律的に「他人」なのです。

日本の民法の精神において、親の介護は、その血縁である親族(および被介護者の配偶者)によってなされるべきだということです。ですから、妻が、妻にとって義理の両親にあたる人物の介護をするというのは、義務でないことはもちろん、常識でもありません。

離婚を避けるために注意しておきたいこと

それでも妻が、妻にとって義理の両親にあたる人物の介護をする場合は、相続を見据えて、きちんと親類縁者と話をするべきです。そして、義理の両親にあたる人物は、義理の娘に対して、遺言できちんと財産の一部を相続させることなどを示しておかないとなりません。もしくは、親類縁者は、このケースにおける妻に対して、介護に対する相当の報酬を支払うといったことが必要です。

もちろん、妻がこうした相続をめぐる現実を把握した上で、見返りを期待せず、夫を助けたいというケースもあるでしょう。その場合は、逆に、妻の両親の介護については、夫が関与することなどで、やっと「おあいこ」です。この「おあいこ」ができれば、本当は皆がハッピーなのですが、仕事の関係などで、なかなか難しいのも現実でしょう。

ちなみに、夫である人物が一人っ子であり、夫の両親に兄弟姉妹がいない場合は、遺産は夫と子供のところに行きます。将来にわたって、夫と妻が離婚しないとして、かつ、夫が妻よりも先に死亡した場合は、この遺産は妻と子供のところに行くので、妻として義理の両親の介護をすることも合理的な判断になりえます。しかし、これだけの条件が整うケースも稀だと考えるべきでしょう。
 

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