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首都圏における要介護者は3年ごとに1割増えている

首都圏における要介護者は3年ごとに1割増えている

首都圏における医療・介護問題

医療・介護業界は、基本的には公費(税金や社会保険料)で運営されている業界です。このため、基本的には、医療・介護においては提供されるサービスの価格が国によって定められています。その価格は、地域によらず(ほとんど)一律になっています。これは、従業員1人あたりの収入は、地域によらず(ある程度)一定ということです。

これとは裏腹に、医療・介護従事者の人件費には、地域格差があります。地価や物価が高いところでは、高い報酬を支払わないと、人が集まりません。逆に地価や物価の安い地域では、そのぶんだけ人件費を抑えることができます。

そうなると、地価や物価の高い首都圏においては、従業員1人あたりの収入は地方と同じなのに、従業員1人あたりのコスト(人件費や地代家賃)は地方よりも割高ということになります。結果として、首都圏における医療・介護事業者の収益性は低くなっており、赤字化していたり、倒産の危機にあるところが多数あるのです。

そんな首都圏で激増しつつある要介護者

そんな首都圏において、要介護者が激増しています。このまま行くと、受け皿となる医療・介護事業者が足りず、医療・介護難民が発生してしまいそうです。これは必ず、介護離職を誘発することにもなるでしょう。以下、日顕新聞の記事(2018年7月19日)より、一部引用します。

東京、神奈川、千葉、埼玉、山梨の1都4県で要介護認定者は2020年度までの3年で1割増え、約170万人に上る見通しだ。国内でも人口が密集する首都圏では今後高齢化が急速に進む。各自治体は住民の健康増進、医療費の抑制などにつなげるため、介護予防対策を進める。(中略)

東京都は20年度末に要介護者が63万9900人に上り、10.7%(6万2000人)増えると予測する。先進的な介護予防事業などノウハウを区市町村に指南する拠点を東京都介護予防推進支援センター(板橋区)に開設し、専門家を派遣したり、施策の相談に乗ったりしている。

要介護者の増加率が14.6%と1都4県で最も高い千葉県は、高齢者の就労や地域活動への支援を充実し、生涯現役社会を実現する目標を18~20年度の高齢者保健福祉計画に盛った。60歳を超えても企業で働いたり、ボランティア活動に従事したりする高齢者の割合を男性、女性ともに80%に高める。(後略)

介護予防は間に合うのだろうか

先のニュースでは、高齢化しても介護を必要としない人を増やすような予防について言及されていました。しかし、こうして叫ばれる予防というものが本当に機能したケースは、稀だと思います。医療・介護業界としては、そうした予防に効果がないことを想定して、大介護時代に準備しておかないとならないでしょう。

ただ、首都圏は、そもそも介護人材については特に、有効求人倍率が5倍を超えるような状態にあります。まさに八方ふさがりで、首都圏の介護は、その供給力において大きな問題を顕在化させていくことになるでしょう。

首都圏に暮らす高齢者は、今後、そのまま首都圏では暮らせないことを真剣に考えていく必要があります。そうした事態を想定して、貯蓄をしていかないとならないのですが、仕事を引退している高齢者に対して、今から貯蓄をしろというのも無理な話です。そして少なからぬ高齢者の貯蓄は、不足しています

まさに国難とも言える事態が、今まさに、その姿を表そうとしています。これらは全て、過去においてきちんと考えてこなかったツケなのですが、この国難に巻き込まれる人々の数が多すぎて、とても無視することはできないものです。ただ、もはや打ち手と言えるようなものも残されておらず、介護予防が、最後の希望になっているのが実情なのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『「要介護」3年で1割増に 1都4県、予防急ぐ』, 2018年7月19日

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