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女性の就労が進むことでは、介護業界の人手不足は解消されない

女性の就労が進む(出産後の職場復帰が容易に)

もはや働く女性の率は、アメリカやフランスを上回っている

日本は、女性が働きにくい国でした。特に、年齢と就労率をグラフにすると、日本では出産後に就労率が下がるため、英語の「M」の字を描くことは有名な話でした。これが、ここ数年で急速に解消されているというのです。以下、日本経済新聞の記事(2018年2月23日)より、一部引用します。

女性が出産や育児によって職を離れ、30代を中心に働く人が減る「M字カーブ現象」が解消しつつある。働く意欲のある女性が増え、子育て支援策が充実してきたのが背景だ。人手不足下の景気回復で、企業が女性の採用を増やしている面もある。(中略)

総務省が1月下旬にまとめた最新の労働力調査によると、2017年は15~64歳で働く女性が2609万人、男性は3289万人。率(労働力率)にすると、男性(85.6%)とは開きがあるが、女性は69.4%と過去最高を記録した。(中略)16年には米国やフランス(ともに67%)を上回った。(中略)

日本は景気が回復しているのに人手を確保できず商機を逃すこともある。中小企業や人手に頼る小売りや外食、運輸などで深刻だ。女性と高齢者への期待は高い。企業が採用を積極化し、賃金が上がりやすくなっている面もある。(後略)

この記事の中で、特に、日本における女性の就労率が、アメリカやフランスを上回ったというところは、本当に驚きです。それでもなお、日本の場合は、男女の賃金格差が残されてはいます。しかしここも(当然、注意していかないとなりませんが)時間の問題で解消されていく可能性が高いと考えられます。

介護業界の人手不足は解消されない

介護業界は、他の業界と同等かそれ以上に、深刻な人手不足の状態にあります。特に介護というのは、供給不足が起こってしまうと、介護離職につながってしまったり、最悪は要介護者が死んでしまうことにもなりかねません。日本の未来にとって、非常に重要なのが介護職の存在なのです。

そんな介護業界は、増え続ける要介護者に対応するため、ずっと人材を募集してきました。しかしそれは、実質的に、他の業界で働いている人を、介護業界に転職してきてもらうということを意味します。それが、全63業界中でも最悪の待遇と言われる介護業界に可能なのでしょうか。

現在の女性の就労率や、外国人労働者の流入(実質的な移民制限の解放)は、基本的に、理念がそうさせているというよりは、日本全体の人手不足が牽引しています。人手不足は介護業界だけの話ではなく、全産業においてそうなのです。しかも、介護業界の外では、賃金の向上がはじまっているのです。

介護業界の待遇改善を進めるために

介護業界の待遇改善は、他の業界における賃金の向上をみながら、それ以上の割合で進まないとなりません。しかし、介護業界に流れるお金のほとんどは公費(税金や社会保険料)であり、その大元であるところを大きく増やすのは困難です。

そうなると、公費以外のところからのお金の流れを増やさないと、介護業界における待遇改善は絶望的な話になります。そのための混合介護なわけですが、混合介護は、受けられる介護サービスにおいて、要介護者の貧富の格差を大きくしてしまうという側面もあります。

本当に難しい問題です。しかしここでは、要介護者に貧富の格差を我慢してもらうか、それとも介護業界で働く人に貧困になってもらうかという二択しか残されていないのです。このとき、今の日本は、いよいよ要介護者に貧富の格差を我慢してもらう方向に舵を切ったということは、理解しておくべきことでしょう。

※参考文献
・日本経済新聞, 『M字カーブほぼ解消 女性就労7割、30代離職が減少』, 2018年2月23日

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