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名古屋の自動運転の技術開発は、さすがに全国の一歩先を行く

名古屋の自動運転の技術開発は、さすがに全国の一歩先を行く

自動運転の技術開発のいま

高齢ドライバーによる運転事故の問題を受けて、高齢者のための移動手段の開発は急務になっています。ドライバーを必要としない、完全な自動運転ができれば、高齢ドライバーの問題は解消されます。しかし、完全な自動運転の技術開発は困難で、まだ、その実現はかなり先だと考える人も多いと思います。

そんな中、注目されているのは、やはりトヨタ自動車の動きでしょう。そのトヨタ自動車の活動の一部が、中日新聞によって報道されています。以下、その記事(2018年5月15日)より、一部引用します。

名古屋大と愛知県春日井市などは年内にも、高齢化が進む同市の高蔵寺ニュータウンで、全国で初めて配車アプリを活用した自動運転タクシーの実証実験に乗り出す。交通弱者の移動手段として、二〇二一年ごろの実用化を目指す。名大と同市は、次世代交通分野でトヨタ自動車などと連携しており、実験の成果を共有し、サービスの検討や技術開発を加速させる。

実験は高齢化率が46%とニュータウン内で最も高い石尾台地区で計画し、住民に乗客として参加してもらう。名大が開発したスマートフォンやタブレット端末などで使う配車アプリで自宅に自動運転の車を呼び出し、指示した近距離のスーパーやバス停に移動する。名大によると、配車アプリを組み合わせた自動運転の実証実験は国内では前例がないという。(後略)

ニュータウンなら高い採算性が実現できるかもしれない

日本の高度成長期を支えた労働力のベッドタウンとして、ニュータウン構想が進められました。これは、大都市圏において不足する労働力を補完するため、国策として取られた戦略だったのです。結果として、日本が大きな飛躍を実現したことは事実です。

そうしたニュータウンには当時の若年層が一斉に入居しました。そして現在は、一斉に高齢化しています。より正確には、現在のニュータウンの特徴として(1)住民の高齢化(2)住宅等の老朽化(3)バリアフリー化の遅れ(4)近隣センター等の衰退(5)小中学校等の遊休化、といったことが挙げられています。

今回のトヨタ自動車らの取り組みは、そんなニュータウンをターゲットにしたものです。一定数以上の高齢者が、高い密度で暮らしているニュータウンは、ある意味で、ひとつの巨大な高齢者施設と考えられます。そこでなら、採算性の高いビジネスが展開できる可能性もあります。

この次の展開とニュータウンの可能性について

トヨタ自動車は、このニュースに述べられているニュータウンで採算性まで検証できたら、全国のニュータウンへの参入を考えていくでしょう。そうして日本のニュータウンは、高齢者が暮らしやすい街を目指していく可能性があります。

それはある意味で、日本版CCRC構想そのものではないでしょうか。高齢者が暮らしやすい街の根幹には、移動のためのインフラが必要になります。しかし、そうした街づくりをゼロから立ち上げるには膨大な費用がかかり、現実的ではありません。

そこで必要なのは、スタイリッシュなスポーツカーのような自動運転車ではないでしょう。車椅子が少しだけ大きくなったようなイメージで、ちょっとした坂道を楽々と超え、近所の商店街までなら簡単に移動できるような、そんな自動運転車が多数稼働しているニュータウンなら、高齢者にとって暮らしやすい街ができるかもしれません。

※参考文献
・中日新聞, 『自動運転、高齢者の足に 名大と春日井市など実証実験』, 2018年5月15日
・国土交通省, 『ニュータウン再生について』

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