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医療と介護のデータ連携がはじまる?上手くいくのだろうか・・・

医療と介護のデータ連携がはじまる?上手くいくのだろうか・・・

医療と介護のデータ取り扱いについて

これまで、医療と介護のデータは、厚生労働省が別々に収集し、個人が特定できない形式で、研究者らに開示されてきました。ここで、医療と介護のデータを連携させると、個人の特定につながる可能性が高まってしまいます。そのため、これまでは、データの連携は進んでいなかったのです。

しかしいよいよ、介護財源の枯渇が顕在化してきており、データ連携からの介護予防につなげないと、恐ろしい事態が生じてしまうという段階に来てしまいました。そこでついに、厚生労働省は、医療と介護のデータ連携を開始することを決めたようです。以下、毎日新聞の記事(2018年5月17日)より、一部引用します。

厚生労働省は16日、医療と介護に関する情報のデータベースを結びつける方針を決めた。同日の専門家会議に示した。病気の予防や効果的な介護サービスの提供につなげる狙い。2020年度の運用開始に向け、7月をめどに詳細を詰める。

診療日数や投薬の記録、健康診断結果など医療に関する情報と、介護サービスの利用状況や要介護認定など介護に関する情報は、厚労省が別に収集している。いずれも自治体や研究者らが利用できるが、個人が特定できないよう匿名加工しているため横断的に分析できない。(後略)

個人情報の取り扱いをめぐる難しさ

医療と介護のデータを連携させれば、介護予防が進む可能性が高まります。同時に、こうしたデータから個人を特定し、営業につなげたいと考える事業者も多数でてきます。実際に、自分の携帯電話に営業の電話がかかってきて「どこから携帯番号が漏れたのか?」と不安な気持ちになったことは誰でもあるでしょう。

個人情報を保護することは、個人が犯罪に巻き込まれるリスクから守るためにも大事なことです。しかし、それを強化しすぎてしまうと、介護予防といった本当に重要なテーマの発展が阻害されてしまいます。それでも、個人情報を守ることが、そのまま国の衰退の加速につながってしまうことは避けなければなりません。

個人情報を含むデータの漏洩は、起こってはならないことです。しかし残念ながら、実際には、そうしたデータの漏洩は、確率の問題で発生してしまっています。データの漏洩をゼロにすることは、技術的に(まだ)不可能なことだからです。

セーフティーネットのほうが重要になってくる

医療と介護のデータ連携は、これからさらに問題が大きくなる介護のことを考えれば、進めるしかありません。しかしそれは、結果として、個人情報の漏洩にもつながります。それは起こってはならないことですが、発生することを見越しておく必要もあるのです。

個人情報が漏れた場合、国として、それにどのように対応するのか、しっかりと議論を進める必要があります。しかし、個人情報が漏れないことにかける予算と、それが漏れた場合に対応する(セーフィティーネットを構築する)ための予算は、どちらも国の1つの財布(税金)にほかなりません。

どちらに予算を傾けるのか、その配分を決めていくことは、本当に難しい作業になるでしょう。しかし、その作業に時間がかかりすぎてしまえば、2025年問題はもちろんのこと、日本の将来がおかしなことになってしまいます。もはや猶予はありません。その認識が、今回の厚労省の決断の背景にはあるのでしょう。

※参考文献
・毎日新聞, 『医療・介護 データ連結 20年度開始目指す 厚労省方針』, 2018年5月17日

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