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免許返納をするくらいなら・・・(一宮事件)

免許返納をするくらいなら・・・(一宮事件)

免許返納が嫌で・・・

高齢者の運転事故問題は、先の前橋事故を受けて、世間的にもかなり問題視されるようになってきました。悲劇を繰り返さないためにも、なんとか免許返納と、返納後の日常生活の確保を急がないとなりません。

特に地方に暮らす高齢者にとって、自動車がないと、日常生活が大きく毀損されてしまいます。都市部で暮らしていれば、むしろ、自動車の必要性を感じることが少なくなってきていますが、地方では、全く事情が異なります。ですから、免許返納は、返納後にどうなるのかという部分とセットの話なのです。

しかし、免許返納の後については、バスやタクシーが安くなるといった話は増えてきてはいるものの、まだまだ取り組みが不十分です。そうした中、また、痛ましい事件が起きてしまいました。以下、毎日新聞の記事(2018年5月13日)より、一部引用します。

自宅兼工場を全焼させたとして、愛知県警一宮署は12日、同県一宮市浅井町尾関、無職、纐纈(こうけつ)朝男(あさお)容疑者(83)を現住建造物等放火の疑いで逮捕した。(中略)

逮捕容疑は11日午後10時20分ごろ、自宅でストーブに点火して上に布団を掛けて燃え移らせ、木造2階建て延べ約260平方メートルを全焼させたとしている。(中略)纐纈容疑者は事情聴取に対し「免許を返納したくなかった」と話したという。

免許返納の説得は家族まかせでよいのか

もちろん放火はいけません。ただ同時に、一部の高齢者にとって免許返納は、今回のニュースのように、晩年になって自らの人生を棒にふるほどに嫌なことだという認識も求められます。自動車のある生活は、それだけ、一部の高齢者にとって、人生の一部になっているということでもあります。

一部の高齢者の場合、免許返納を促すのは、これだけ難しいことなのです。それを、家族だけにまかせていてよいのでしょうか。そもそも家族のいない高齢者の免許返納は、誰が説得するのでしょうか。先の前橋事故も、高齢者に免許返納を促したことが、間接的な事故の原因にもなっているのです。

日本は戦後、道路を整備し、橋をかけ、トンネルを掘って、自動車とともに国土を発展させてきました。高齢者からすれば、自動車があることを前提としたまちづくりをしてきて、いまになって、自動車だけ取り上げられるのは、納得がいかないのかもしれません。

個人タクシーでさえ75歳で定年になる

個人タクシーは(平成14年2月1日以降に免許を取得した場合)、75歳で定年となります。運転することが仕事の根幹になっているプロでさえ、75歳(後期高齢者になる年齢)を区切りとしているのです。個人タクシーの場合は、生活の基盤を奪うことになるので、このルールを適用するのは、非常に大変なことだったはずです。

家族に、免許返納を促させるリスクを犯してもらうのではなく、いっそ、法律で75歳以上の運転を禁止することも考えるべきではないでしょうか。家族の説得に期待していたら、今後も、多くの事件が起きてしまうことが明白だからです。

もちろん、その後の日常生活がどうなるのかについての議論も同時に進めないとなりません。ただ、のんびりしていると、運転免許をめぐる悲劇は止まりません。自動運転の実現を待っていることもできない印象です。国会における貴重な時間を、何に割くべきなのか、本当に考えないとなりません。

※参考文献
・毎日新聞, 『83歳、免許返納が嫌で自宅に火 容疑で逮捕 愛知・一宮』, 2018年5月13日

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