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これから痛い思いをする「団塊の世代」に覚悟しておいてもらいたいこと

これから痛い思いをする「団塊の世代」に覚悟しておいてもらいたいこと

団塊の世代は人口ボリュームが大きい・・・ということは?

団塊の世代(1947~1949年生まれ)は、日本の戦後復興を支えた世代でもあります。その特徴は、とにかく人口ボリュームが大きいことです。このわずか3年の間に生まれ、現在も健在とされている人口は約800万人です。この前後数年を合わせれば、軽く日本の全人口の10%を超えるのです。

この世代の人々が、人生を通して経験したのは、市場に注目されるということでした。人口ボリュームが大きいので、この世代のニーズを捉えることが、ビジネスにとって重要なことだったからです。この世代は、自分たちが求めるものが、手頃な価格で提供され続けたという経験をしています。

そして2025年には、この世代は後期高齢者(75歳以上)になります。後期高齢者になると、介護を必要とする人が劇的に増加します。このとき、団塊の世代は、人生ではじめて、大きな驚きに遭遇することになるでしょう。それは、そこそこお金があっても、自分たちが求める介護が提供されないという事態です。

圧倒的にニーズがあるのにサービスが提供されない

もちろん、団塊の世代によって、日本は大きな飛躍を遂げたという面もあります。ですから本稿は、団塊の世代を非難したいという意図をもっているわけではありません。そうではなくて、ただ、大変なことになるという警鐘を鳴らしたいということです。

いざ、自分や自分の配偶者に介護が必要になったとき、それを支えてくれる介護のプロは圧倒的に人数が足りないという事実は理解しておいてもらいたいです。また、特別養護老人ホームのように、税金が投入されており、安価に入居できるレベルの高い老人ホームは、どこも満床です。

では、自分たちの子供が介護をしてくれるかというと、そんなことはありません。団塊の世代とは異なり、兄弟姉妹が少なく、専業主婦もいない子供たちの世代は、介護に関わっていては、自分の生活が立ち行かなくなるからです。そうした状態で、子供が親の介護に深く関わってしまうと、介護殺人や虐待になってしまいます。

介護は誰にでもできる仕事ではない

まだまだ世間には「介護は誰にでもできる仕事」という認識があります。もしかしたら、介護業界の人材不足も「なんとかなるだろう」と考えている人さえいるかもしれません。しかし、これらの認識が間違いであることは、2025年以降、広く健在化していくことになるでしょう。

逆の立場から考えてみてください。介護職というのは、毎日、自分の身の回りのことはもちろん、自分の生き方そのものに対して大きな影響を及ぼすことになる相手です。その相手が「誰でもいい」と思いますか?多くの場合、介護職というのは、自分の子供や孫よりも、ずっと頻繁に接触する相手なのです。

そうした相手には、少なくとも医学的な基礎知識、高度なコミュニケーション能力、高品質な介護技術を求めるでしょう。さらに、糖尿病や高血圧に配慮した調理技術や、自分が認知症になった場合の尊厳への配慮など、言い始めたらきりがないはずです。なにせ、毎日一緒にいる相手になるのですから。

居酒屋で「すみませーん!」と大声を出したこと

居酒屋などで、店員を呼ぶときに「すみませーん!」と大声を出したことがあるでしょう。そのとき、店員の態度としては3つのものが考えられます。それらは(1)大声を出したにも関わらず聞こえないフリをする(2)「はい、ただいま!」と元気のよい返事がある(3)客が声を出さなくてもグラスなどをさげながら次の注文を確認する、というものです。

(1)大声を出しても聞こえないフリをされたら、もう、その居酒屋には行かないでしょう。本当は、グラスや食器を下げつつ「次は何になさいますか?」と聞いてくれるような居酒屋(3)が嬉しいはずです。とはいえ、とりあえずこちらの大声に「はい、ただいま!」と返してくれる状態(2)であれば、客であり続けることも可能です。

団塊の世代は、サービスの品質としては(2)や(3)の世界に慣れているはずです。しかし、これからの介護業界には、そもそも店員がいません。「すみませーん!」と大声で叫んでみても、そこには誰もいないという可能性も高いのです。仮にいたとしても(1)のような状態になります。恐ろしいほどの人手不足ですから。

このとき「こっちは金を払っているんだから、しっかりやれ!」と怒鳴っても仕方がありません。そもそも介護職でいてくれる人がいるだけありがたい状態です。そんな態度で接すれば、誰も、介護サービスを提供してくれなくなります。それはすなわち、日常生活を営むことができず、悲惨のうちに人生を閉じるということです。

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