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郵便局員が見守りを担当する?かつてあった日本の姿は未来につながるか

郵便局員が見守りを担当する?かつてあった日本の姿は未来につながるか

郵便局というビジネスモデルの限界

郵便局は、非常に苦しいビジネスを強いられています。物流で儲かるのは、宅配効率が高い都市部における物流に限られています。こうした都市部を専門とする物流業者も増えてきています。しかし郵便局は、その存在の使命というレベルから、都市部にのみ事業を集中させることができません。

かつて、郵便局は、都市部での儲けによって、地方の赤字をカバーしていました。しかし、都市部における物流の競合状態が厳しくなった結果として、都市部の物流の収益性が悪化しているのです。そうなると、地方における赤字がカバーしきれないということになります。郵便局にとっては、機器的な状況です。

そうした郵便局に残されている可能性は、介護との融合ではないでしょうか。過疎地に暮らす高齢者のところには、介護事業者さえ採算が合わずに入り込めない(撤退が相次いでいる)という実情があります。そんな過疎地において、郵便局員が活躍しつつあるのです。以下、毎日新聞の記事(2018年4月21日)より、一部引用します。

御坊市と市内8郵便局は、高齢者の見守りに関する協定を結んだ。郵便局職員が配達などを通じて高齢者宅の異変を感じた場合、市に情報を提供する。市によると、人口の約3割が65歳以上の高齢者で、見守り活動に協力したいと郵便局側から申し出があった。(後略)

届かないことを許さないという使命感

郵便局には、たとえそこが離島であったとしても、郵便物が届かないということを許さない使命感があります。民営化後は、そうしたことも言っていられなくなってきていますが、組織のDNAは、届かないことを許してはいないはずです。

物流のネットワークから疎外されてしまえば、人間は生きることができなくなります。介護が必要な人のところに、介護サービスが届かない場合もまた、同じです。運んでいるのが物なのか、それともサービスなのかという違いはあれど、郵便局の理想は、介護の理想とも重なり合うところがあるわけです。

今回ピックアップしたニュースの場合も、郵便局の側から、自治体に対して提案があったというところが重要です。郵便局の現場で汗を流す人々の中には、民営化後であっても、ただ物を運んでいるわけではないという気概があるということでしょう。本当に素晴らしいことです。

郵便局11万人の労働者の可能性

介護人材は、2025年には約38万人が不足すると言われています。この一部であっても、郵便局員が支援することは不可能なことでしょうか。当然、介護のすべてを郵便局員が行うことには無理があります。しかし、見守りをはじめとしたその一部であれば、十分に可能性があるのではないでしょうか。

もともと、介護は誰にでもできる仕事ではありません。特に、公的なシステムの維持のために、高い倫理観が求められる仕事です。この点について、世界でもっとも安全とも言われる日本の郵便局員には、介護の適正も少なくない可能性があります。

今後、郵便局内の仕事も、自動化の波にさらされ、雇用の維持という課題が大きくなっていくことでしょう。郵便局の、介護事業への進出は、その救済となるかもしれません。もちろん、郵便局は採算を考える民営化された組織ですから、そう簡単ではないことは明らかです。それでもなお、期待したい気持ちになります。

※参考文献
・毎日新聞, 『郵便局職員が高齢者見守り 御坊市と市内8郵便局/和歌山』, 2018年4月21日

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