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【介護事業・経営者向け】世間一般よりも柔軟な働き方が、介護業界の未来を救う?

世間一般よりも柔軟な働き方が、介護業界の未来を救う?

介護業界の人手不足は、中途半端な待遇改善では不可能だが・・・

現在の介護業界は、国内でももっとも人手不足の状態にあります。労働者1人あたりに対していくつの求人があるかを示した有効求人倍率(昨年のデータ)を見ると、介護業界の平均は3.15倍(全国平均は1.22倍)もあります。特に東京都と愛知県の有効求人倍率は5倍を超えており、異常事態です。

こうした場合、ほかの業界であれば、労働者に対して、競合よりもよい待遇をオファーすることで、人材を獲得しようとするでしょう。しかし介護業界は、医療業界と同じで官製市場であり、売上が事実上固定されています。このため、費用である人件費も、相当な大手でない限り、ほとんど横並びにならざるを得ないのです。

しかし介護業界の人手不足は、今後ますます深刻になっていきます。介護業界で働く人を増やすということは、介護業界の外から人材を転職させる必要があります。しかし、全63業界中ダントツの最下位という待遇になってしまっている介護業界が、それに成功する可能性は高くはありません。

待遇でなければ働き方で戦うしかない

もちろん、介護職の待遇改善は必要です。しかし、待遇改善には、国が動く必要があり、自分たちでどうにななるわけではありません。そうなると、国が動くことを期待しながらも、少しでも自分たちでできることを考え、それを人材に対してオファーしていくしかないでしょう。

その中でも、もっとも可能性があるのが、働き方です。他の業界よりも柔軟で、休みやすく、休みの多い職場をオファーすることが、もっとも効果的だと考えられます。そして実際にそれは起こりつつあるのです。以下、静岡新聞の記事(2018年3月31日)より、一部引用します。

人材不足が続く県内の介護現場で、正職員の週休3日制導入の動きが出ている。介護現場で働く人は圧倒的に女性が多いことから、働き方の選択肢を増やして家庭との両立を支援することで、人材確保を狙う。(中略)

東海地方で薬局や介護施設を展開する健康第一調剤薬局(掛川市)は4月、初の週休3日制正社員として、女性の理学療法士を採用する。「子育てしながら無理なく働きたい」という女性の意向に応えた。増田祥典社長は「人材確保のために、発想転換が必要な時代が来ている」と強調する。(後略)

週休3日だけでは勝てない可能性が高い

現在は、国をあげての働き方改革が推進されつつあります。そうした流れの中で、介護業界以外でも、週休3日制というのは、珍しいものではなくなってきています。よりエッジをきかせて、より柔軟な働き方ができる職場にしていかないと、介護業界の人手不足は緩和されないでしょう。

以下、具体的に考えられる施策を簡単に列挙します。これらはどれも、実現は簡単ではありません。しかし、日本全体が働き方改革に動いているいま、これらを実現できないと、さらに不利になるばかりです。むしろ、これらが実現されて、やっと戦える状態になるのかもしれません。

1. 育児休暇の子供の年齢上限を変更する

育児休暇というのは、子供が3歳になるまでというのが一般的です。しかしトヨタ自動車では、全ての職種ではないものの、育児休暇が子供が8歳になるまで取得できる制度が整っています。なんらかの病気があったり、障害があったりすれば、3歳を超えても親の手がかかります。そうした人のために、まずはトヨタ自動車のように上限をあげることは検討すべきでしょう。また、育児休暇は、一般には女性が取得することが多いものです。男性も取得しやすいようにすれば、競争優位性が生まれるかもしれません。

2. 子供を連れて出社できるようにする

どうしても子供の預かり先がない場合など、子供を連れて出社できるようにすることは、労働者によってはとても魅力的に感じられるでしょう。託児所が併設されている企業も増えてきてはいますが、まだまだ少数派です。託児所の整備をするお金がない場合でも、たとえば、緊急時には、子供をオフィスに連れてくることができるといった柔軟性を持たせるだけなら、お金はかかりません。特に母子家庭や父子家庭に優しい職場であると、競合優位性が高まるでしょう。

3. 時短勤務に柔軟性を持たせる

時短勤務は、どこの会社でも可能になりつつあります。しかし一般には、午前中だけとか、午後だけとか、帰宅の時間を一度決めたら変えるのが面倒といった状態にあります。ここに柔軟性を持たせて、必要なときに、必要なぶんだけ時短勤務ができるようにできたら最高です。これを実現するには、どうしてもバックアップ要員が必要になりますが、場合によっては、しばらくは現場を遠ざかっていた経営者がバックアップをすることも考えるべきかもしれません。

4. 直行・直帰が簡単にできるようにする

さすがに、利用者(要介護者)を相手にする介護業界で、在宅勤務が可能な人材は限られています。しかし、自宅から利用者のところに行って、そのまま事務所に戻らずに自宅に帰るといった直行・直帰が簡単にできるようにすれば、少なからぬ労働者にとって魅力的でしょう。結果として、事務所の必要面積も減らせる可能性があり、地代家賃の節約にもつながる可能性があります。特に夜勤の場合は、直行・直帰が基本という事業所もあるはずで、ここはただ横展開すればよいだけかもしれません。

5. 介護をしながら働きやすい職場にする

灯台下暗しにならないよう、一般の企業を介護離職した人材を、介護業界として採用していくことは合理的だと思われます。介護離職は、いまのところ年間10万人にもなりますから、ここを狙っていく必要があるでしょう。介護をしながら働きやすい職場とはどのようなものか、介護業界だからこそ模範的に見せられるものもあるのではないでしょうか。なんとか、これを実現し、他の業界の模範となるような制度を構築したいものです。

※参考文献
・静岡新聞, 『介護職「週休3日」で確保 女性7割超 静岡県内で導入の動き』, 2018年3月31日

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