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プロスポーツ団体として、介護事業に参入するのはどうだろうか?

プロスポーツ団体として、介護事業に参入するのはどうだろうか?

元プロ野球選手が、介護事業の経営者に?

元プロ野球選手が、引退後に、リハビリ型のデイサービス企業を立ち上げたことが話題になっています。阪神、西武や広島に在籍していた江草仁貴(えぐさ・ひろたか)元投手です。以下、山陽新聞の記事(2018年4月3日)より、一部引用します。

プロ野球から介護の世界へ飛び込んだ元投手がいる。阪神や広島などで活躍し、昨季限りで引退した福山市出身の江草仁貴(ひろたか)さん(37)。現役最後の6年間を過ごした広島市でデイサービス施設の運営会社を立ち上げ、社長として第二の人生を歩んでいる。(中略)

この業界で働くプロ野球出身者は珍しく、挑戦心をかき立てられた。デイサービスに通う祖母の姿も脳裏に刻まれていた。「人の役に立つ仕事をしたかった。資金の問題などしんどいことも多いが、やりがいは大きい」

施設のオープンは、プロ最後のシーズンとなった昨年の夏。2013年に肘を手術して以降、出場機会が減り、引退を覚悟して計画的に準備を進めた。練習の合間に全国の施設を訪ねて回り、理想のビジネスモデルを模索した。元バレーボール女子の日本代表セッターで妻の竹下佳江さん(40)も背中を押してくれたという。(後略)

介護とは、要介護者に生きる勇気と希望を与えること

介護というと、一般には「シモの世話」という印象があるかもしれません。しかしそれで、介護のプロたちは、わざわざ悪い待遇を受け入れているわけではありません。介護にはやりがいがあり、非常に意味のある仕事というのが、介護業界が感じていることだと思います。

介護には、他者からの支援なしでは生きることが難しくなった要介護者に対して、生きる勇気と希望を与えるという側面があります。元気のなかった要介護者が、自分の働きかけによって輝いていく姿を一度見てしまうと、なかなか抜けられないという話もよく聞きます。

生きる勇気と希望を与えるという意味において、介護は、プロスポーツと似ているとは言えないでしょうか。プロスポーツもまた、日常に疲れた多くの人々に、明日も頑張ろうという気持ちを与えるものです。プロスポーツに救われたことのある人も多いはずです。

プロスポーツ選手は、ヘルスケアの近くにいる

プロスポーツ選手で、一度も怪我をしたことのない人はいないでしょう。プロスポーツ選手にとって、ひとつの怪我が、選手生命の終わりになることも珍しくありません。そうした背景もあって、プロスポーツ選手は、人体の構造に知識があるだけでなく、そのケアについても詳しいことが多いものです。

たとえば、プロスポーツ団体が、介護施設を経営するというのはどうでしょうか。現役選手も、空き時間に、介護についての実務経験を積めたら、引退後のセカンド・キャリアの幅も広がるはずです。そもそもプロスポーツ団体には固定ファンがいますので、入居者の営業は必要ないでしょう。

これは、経営学的には、ファン(顧客)から得られる生涯収益(生涯価値)の最大化という意味があります。プロスポーツ団体は、球場などに足を運べなくなってしまったファンからは、直接的な収益は得にくくなります。そうしたファンからも、喜んでもらいながら、収益を得られる可能性が、ここにはあると思います。

また、社会との接点という意味では、プロスポーツ選手にはどうしても偏りがでます。プロスポーツ選手は、一般の社会人との交流が少なく、どうしても閉鎖的な人間関係しか築けないという問題があるのです。その意味で、人生の先輩である高齢者に触れることは、よい機会にもなると考えられます。

※参考文献
・山陽新聞, 『プロ野球から介護の世界へ転身 阪神、広島で元投手の江草さん』, 2018年4月3日

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