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認知症と間違われやすい「高齢者てんかん」は抑制できる

認知症と間違われやすい「高齢者てんかん」は抑制できる

「高齢者てんかん」とは?

「てんかん」とは、脳の病気であり、大脳の神経細胞が過剰に興奮するために起こってしまう発作です。高齢者になると、この「てんかん」を発症する割合が増えていき、専門家によれば(宇佐美, 池田, 2015年)高齢者の1%が「てんかん」と診断されるそうです。高齢者に多いので「高齢者てんかん」という名称で取り上げられます。

重要なことは、それが「てんかん」であれば、専門の医師による適切な診療によって高確率で抑制できるということです。正しい診断を得ていくことで、QOL(Quality Of Life)を低下させることなく暮らしていくことができる病気という認識が大事になります。

そして「高齢者てんかん」は、症状が認知症と似ているというところに注意が必要です。認知症の場合は、いまのところは治療することができないため、あきらめてしまう人も多いのです。しかしそれが「高齢者てんかん」であれば、普通に暮らしていくことができるのですから、これを疑ってみる価値はあるでしょう。

日本では「てんかん」は子供の病気であるという間違った認識が広がってしまっているようです(日本神経治療学会, 2012年)。高齢者が、こうした間違った認識を持っていると、自分や自分の周囲で認知症のような症状を見たときに、対応を謝る可能性も高まってしまいます。

最大の違いは発作であるということ

「高齢者てんかん」においては、意識障害になったり、記憶能力が失われたり、コミュニケーションが成立しなくなったりということが起こります。表情が失われてボーッとしたり、ウロウロと歩き回るそして通常の「てんかん」のような痙攣が起こらないケースもあります。

認知症と「高齢者てんかん」の最大の違いは、とにかく「高齢者てんかん」は発作であるということです。大脳の神経細胞が過剰に興奮することで、認知症に似た様々な症状が生まれるのは発作が起こっている間だけです。発作の起こっていない普段は、普通に暮らせるのであれば、それは認知症ではない可能性が高くなります。

この診断には、発作の原因となる脳の部位から「てんかん性放電」と呼ばれる信号を検知する必要があります。しかし「高齢者てんかん」の人であっても、1回の検査でこの「てんかん性放電」をキャッチできるのは30〜70%とのことです(大沼, 2016年)。診断漏れも少なくないので、注意してください。

自動車の運転には制限がかかる

発作をともなう病気なので「てんかん」があると、自動車の免許取得にはは医師の許可が必要です。また、免許を更新するときも、医師の診断書が求められます。また、2年以内に発作があった場合、法律上も運転ができなくなります。免許の更新時などには、正しく申告しないと、後で罰せられる可能性もあるので注意してください。

しかし、地方などの場合、自動車がないと生活が極端に制限されてしまうところもあります。また、免許の返納をした場合、その後、要介護になる危険性が8倍にも跳ね上がるという話もあります。「高齢者てんかん」と診断された場合は、こうした点にも配慮しなければなりません。

高齢者と自動車の運転の話は、事故のニュースが絶えないこともあって、基本的には免許返納の方向が確定しています。とはいえ、免許返納には要介護リスクが伴うわけですから、免許返納で問題解決とはいかないのです。どうしても、自動運転の実現を急いでもらいたいところです。

※参考文献
・日本神経治療学会, 『標準的神経治療:高齢発症てんかん』, 神経治療, Vol.29, No.4, 2012年
・宇佐美 清英, 池田 昭夫, 『高齢者てんかん診療の現況』, 日本老年医学会雑誌, 52巻2号, 2015年4月
・大沼 悌一, 『高齢者のてんかん』, 2016年10月

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