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運動をしている高齢者の免疫系は20代相当?

運動をしている高齢者の免疫系は20代相当?

運動不足はよくない・・・というレベルの話ではない

高齢者は、免疫系が弱っています。そのため、感染症で命を落とす高齢者も後を絶ちません。特にインフルエンザが流行する冬場には、なんとか免疫力を高めるために食事の栄養バランスに気をつけたり、酒やタバコを控えたり、質の良い睡眠を心がけたりもするでしょう。

そして免疫力を高めるには、適度な運動が有効であることは、昔から言われてきました。最新の研究では、運動をすることは、なんと、高齢者の免疫系を20代相当にまで高める可能性が指摘されています。以下、BBC NEWS JAPANの記事(2018年3月13日)より、一部引用します。

高齢になってからも運動を多く行うことで、免疫系の衰えを防ぎ、感染症を予防できることが、英国で実施された調査で分かった。(中略)125人の長距離サイクリスト(現在80代の人も含む)を調査したところ、その免疫系は20歳相当のものだったという。(中略)

論文の共同著者、バーミンガム大学の炎症・老化研究所の所長ジャネット・ロード教授は、「免疫系は20代以降、毎年約2〜3%の割合で衰えていく。高齢者が感染症、リウマチ性関節炎や、可能性としてはがんのような疾患に感染しやすいのはそのためだ」と語った。(中略)

T細胞は、免疫系が新たな感染症に反応する手助けとなる。T細胞は胸腺で作られるが、胸腺は通常、成人すると小さくなる。研究者らは、実験に参加した長距離サイクリストが20代の成人と同じ水準のT細胞を作り出していることを発見した。活動的でない高齢者のグループのT細胞は非常に少なかった。(後略)

運動不足の高齢者が、いきなり運動をするのは危険

なるほど、ということで、運動不足の高齢者が、いきなり運動をするのは危険です。徐々に体を慣らしていく必要もありますし、基礎体力が弱っていれば、転んで大怪我をすることにもつながりかねません。高齢者が運動をはじめるときは、主治医などに相談しながら、安全を考えて行う必要があります。

そうして主治医などから問題なしとされたら、スポーツクラブに通ってもよいし、先のニュースにあるようなサイクリングをするサークル活動に参加するのも良いかもしれません。現代は、昔とは異なり、少し探せば多数のサークル活動があるというのも嬉しいですね。

とはいえ、適度な運動を超えて、ハードな運動になると、返って健康を害することもあります。高齢者は、自分でも気づかないうちに衰えています。そのため、自分の運動能力を、現役時代のイメージで過大評価していることも多いようです。「このくらい」と思って無理をすると、やはり危険です。

ちょっとした日常の中でこそ運動を心がけたい

もちろん、サークル活動などで体を動かすことも理想的です。同時に、日常生活の中でも、気軽に運動をすることが可能です。たとえば、いつもはバスで移動している場合、思い切って1駅分くらいは歩いてみるのもよいでしょう。1駅分歩けたら、徐々に、2駅、3駅と距離を伸ばしていくのも楽しいものです。

気をつけたいのは、掃除や洗濯といった家事もまた、高齢者にとっては大切な運動の機会だということです。近年、家事代行サービスが使いやすくなりましたし、家電もお任せで多くのことをこなしてくれるようになりました。こうしたサービスや家電は、とても便利で助かるものですが、運動量が減るというリスクもあるわけです。

高齢者福祉の3原則の中には、日常生活の継続というものがあります。自分でできることは、できるだけ自分でやらないと、高齢者の場合は、すぐに弱ってしまうからです。人間社会は、とにかく、全ての物事が便利になる方向性を持っています。不便であることを健康のために受け入れるという視点も大切かもしれませんね。

※参考文献
・BBC NEWS JAPAN, 『高齢での運動が免疫力低下の防止に=英研究』, 2018年3月13日

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