閉じる

人工知能にケアプランが作れるのか?パナソニックのチャレンジ

人工知能にケアプランが作れるのか?パナソニックのチャレンジ

人工知能によるケアプラン作成

高齢化が進み、要介護者が激増すると考えられる2025年を前に、ケアプランの自動作成が検討されているようです。本当にできれば、ケアマネージャー(介護支援専門員)の仕事が大幅に減る(というよりもなくなる)わけですが、本当にできるのでしょうか。以下、朝日新聞の記事(2018年2月22日)より、一部引用します。

パナソニックは介護現場で自立を促すようなケアプランを人工知能(AI)を使ってつくる試みを始めた。自立支援に取り組む事業者には4月の報酬改定で「成功報酬」が出るため、これまでより自立に向けたケアプランづくりが求められそうだ。このため、パナソニックは2019年度にも実用化したい考えだ。(中略)

ポラリスが運営する短期滞在の高齢者向け賃貸住宅の室内に温度や湿度、人感などのセンサーを付けて、お年寄りの寝起きや外出などの動きをつかむ。このデータから、どの程度の介護が必要かを把握。(後略)

このニュースを読む限りでは、この人工知能の目指すところは、ケアプランの作成支援であって、ケアマネージャーの仕事がなくなるということはなさそうです。むしろ、センサー技術によって本当に自立支援が進むような提案ができるなら、多くの現場が(人工知能を恐れることなく)助かるでしょう。

ケアプランとはなにか

そもそもケアプランとは、介護全体の方向性を決める、非常に大切なものです。見え方としては1週間の時間割のようなイメージですが、それは方向性の結果であって、方向性そのものではありません。ケアマネージャーは、方向性を明らかにしながらも、代行業務や業者との連携と管理を行います。

ここで、人間のケアマネージャーでなければできない、介護らしい仕事は、方向性を明らかにするという部分です。心身に障害を負ってしまっても、残りの人生をどのように過ごしていきたいのかという本人の意思を確認したり、ときには刺激して醸成したりしながら、方向性を決めていきます。

仮に、今回のニュースにあるような人工知能が、この方向性を明らかにするという部分以外の業務を支援してくれたら最高です。ケアマネージャーは、より、介護が必要な人とのコミュニケーションに時間を使えるようになるからです。

優れたケアプランの作成には、相手の理解が必要

優れたケアプランの作成には、とにかく、介護を必要とする相手のことを深く理解する必要があります。よく誤解されることとしては、そうしたことは家族に聞けばいいというものです。しかし、家族であっても、意外と知らないことも多いものです。特に、同居していない場合はなおさらです。

優れたケアプランの作成には、ケアマネージャーと相手の時間をかけたコミュニケーションが必要なのです。しかし、現在のケアマネージャーの多くは、忙しすぎて、介護が必要な相手とのコミュニケーションに時間を取れていません。データにもよりますが、だいたい、1ヶ月に2時間程度というイメージです。

ケアマネージャーが気にしているのは、介護を必要とする相手が、どのような目標を持って生きていくかということです。そうした目標をすぐに自分で決められる相手であれば簡単なのですが、多くの高齢者は、目標と言われても困ります。

だからこそ、優れたケアマネージャーほど、高齢者の日常に寄り添いながら、そうした目標の設定を支援したいと考えています。しかし、少なからぬケアマネージャーが、そのための時間が捻出できないことに悩んでいるのが現状なのです。人工知能の目指すべきところは、そんなケアマネージャーの時間を生み出すことでしょう。

※参考文献
・朝日新聞, 『介護自立計画、AIが手助け パナソニック実証実験』, 2018年2月22日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由