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廃用症候群(disuse syndrome)とは?

廃用症候群

廃用症候群(disuse syndrome)とは?

若くても、入院などで、しばらく身体を動かさないでいると、筋肉などの衰えに驚くことがあります。この「しばらく身体を動かさないでいる」というのを、英語でいうと「disuse(廃用)」になります。

一つの原因を起点として、そこから複数の症状がでてしまうことを「症候群(syndrome)」と言います。ですから「しばらく身体をうごかさないでいることから発生する一連の症状」のことを、とくに「廃用症候群(disuse syndrome)」と言います。

この「廃用症候群」は、現在とくに東日本大震災の被災地で問題になっている「生活不活発病」の学術的な名称です。簡単に言えば、風邪から回復して立ち上がろうとするとき、フラフラするというあれが「廃用症候群(生活不活発病)」というわけです。

廃用症候群は予防も改善もできる

一般的な常識として「使わない能力は衰えていく」というのは、誰でもわかることだと思います。しかしこれが、一般に知られている以上に、様々な身体機能に影響し、かつ、その影響力も想像以上に大きいのです。

きちんとわかっていることだけでも(1)運動能力・体力の低下(2)循環血液量の減少(3)血圧調整の障害(4)筋力の低下(5)呼吸機能の低下(6)心肺機能の低下(7)関節が固まり動かしにくくなる(8)情緒不安定化・うつ(9)対人関係の不調(10)栄養バランスの悪化(11)消化機能の低下(12)骨がもろくなる、などなど、様々なネガティブなことにつながります。

これらの根本原因は、病気ではなくて「しばらく身体を動かさないでいる」ことです。ですから、ここからの回復は、身体を動かしていくことになります。きちんと身体を使っていけば「廃用症候群」からの回復・改善は可能なのです。逆から考えると、先の様々なネガティブな症状が認められたとき、その根本原因として「廃用症候群」を疑ってみる必要もあるということです。

高齢者に介護が必要になる背景に「廃用症候群」がある

骨折したり、風邪をこじらせたりして入院し、そこから「廃用症候群」となり、介護が必要になるというケースがよくあります。また、そうしたことがきっかけで認知症になることを特に「廃用性認知症」と言います。

高齢者のほうが、ちょっとしたことでも「廃用症候群」になりやすいので、本当に注意が必要です。そこからの回復・改善は、若い人と比べても、時間がかかったり、回復・改善の度合いも、小さかったりもします。

それでも、あきらめずにリハビリなどを続けることで「廃用症候群」から抜け出していく高齢者もいます。逆に、そこに失敗すれば寝たきりになることもあります。実は、寝たきりになる原因としては「廃用症候群」が多く、そこからの回復は可能と言われています。

専門家との二人三脚で回復・改善をめざす

いろいろな症状がでてきていて、その回復・改善が大事だとわかったとします。その原因が「廃用症候群」だとわかったとします。このとき、無理に特定の運動をしたりして、一時的な回復が得られたとしましょう。それで、本当によいでしょうか。

「廃用症候群」に至ってしまったのが、たとえば長期の入院といった突発的なものであった場合は、短期的には、それでよいと思われます。専門家の助けを借りてリハビリを行えば、入院前の状況に近づけるところもあるでしょう(そんなに簡単にはいかないことも多いですが)。

しかし、そうした突発的なこともなく「廃用症候群」に至った場合は、一時的な回復・改善では、根本的な解決にはなりません。この場合は、日常的な生活そのものが「あまり身体を動かさない」ものであることが問題の根本原因だからです。

なんとか、その当事者の「普通の生活」の中で、もっと身体を使うように生活習慣自体を見直す必要があるのです。ここで具体的に、どのような活動に参加すべきかを考えたり、日常生活の中での工夫を考えたりするのが、専門家の役割になってきます。

身体が弱ってきたら、ちょっと身体を動かせば、それでよいと考えてしまうのは危ないということです。「廃用症候群」は、もっと怖いものです。それは、長年続けてきた日常生活の中にこそ根本原因があり、日常生活を変更するのは容易なことではないからです。

※参考文献
・科牧田茂, 『廃用症候群の予防 体力のおとろえ』, 国際医療センター心臓リハビリテーション
・大川弥生, 『生活不活発病(廃用症候群)―ICF(国際生活機能分類)の「生活機能モデル」で理解する』, 月刊『ノーマライゼーション/障害者の福祉』, 2009年8月号(第29巻/通巻337号)
 

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