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「嬉しい」と「楽しい」の違いについて、もっと意識してもいい

「嬉しい」と「楽しい」の違いについて、もっと意識してもいい

人間には「嬉しい」と「楽しい」が重要

私たちが生きていくためには「嬉しい」と「楽しい」が必要です。お金があるかどうかや、社会的な地位があるかどうかということよりも、私たち人間には「嬉しい」と「楽しい」にあふれた生活が大事なのです(もちろん、生きていくために必要な分のお金も大事ですが)。それが心身の健康を増進するという側面もあります。

こうした考え方は、ポジティブ心理学の登場によって、強化されてきています。ポジティブ心理学は、過去の心理学が心の病への対処ばかりに注目して発展してきたことへの反省でもあります。アメリカの心理学会会長であったマーティン・セリグマン氏が1998年に提唱して以来、世界的な広がりを見せています。

この研究の中で、日本人の65%は不安遺伝子(セロトニン・トランスポーターSS型)を世界一多く持っている(29ヵ国を対象とした調査)ことが示されています(前野, 2017年)。この65%という数字は、アメリカ人の19%と比較しても、かなり高い数字です。

日本人こそ、ポジティブ心理学についてもっと勉強をして、自分たちのあり方をコントロールしていく必要がありそうだということです。特に、要介護者として多くの制約を持って生きることを強いられている状態にあればこそ、これはますます重要な視点になってきます。

「嬉しい」と「楽しい」の決定的な違いとは?

もちろん、ここは定義の違いになってきますので、解釈は流動的です。とはいえ「嬉しい」という感情が生まれるには、他者から評価されたり、運よく何かに当選するといった「外部性」が強く影響するでしょう。これに対して「楽しい」という感情が生まれるのは自分の内側からであり「内部性」に依存していると考えられます。

「外部性」に影響される「嬉しい」という気持ちは、多くの場合、他者の存在や行動に依存しており、自分ではその気持ちを増やすことは難しかったりします。これに対して「内部性」に依存する「楽しい」という気持ちは、言葉としても「楽しむ」というものがあるとおり、自分の行動によって、それを増やせる可能性が開かれています。

どちらも幸福な人生を歩むために、とても大事なものです。「嬉しい」も「楽しい」も、どちらも感じられない人生は嫌です。このとき、もしかしたら運の問題もあって「嬉しい」という気持ちには恵まれないかもしれません。しかし「楽しい」という気持ちは、自分で増やしていけるものとして認識すると、絶望から自由になれます。

「嬉しい」と「楽しい」の決定的な違いとは、思い切って言えば、運と自己責任の違いです。「嬉しい」気持ちになることがあれば、それはとても運の良いことであり、感謝しましょう。しかし「楽しい」という気持ちは、自分から面白いことを求めていかないと得られないものであり、その多くの部分が自己責任になります。

面白いと感じることを大事にしていきたい

人生には辛いことがたくさんあります。特に、介護をしたりされたりする生活の中にあっては、この点を強調する必要はないでしょう。運がよければ、そうした辛い時間の中にも「嬉しい」と感じられることがあるかもしれません。しかし、それはやはり運によるところが多く、自分から動いても、なかなか得られないものでしょう。

では「楽しい」はどうでしょうか。辛い生活の中にも、ちょっとは面白いと感じられることがあるはずです。ここで鍵になるのは、できるだけ多様な情報に触れることです。多様な情報の中には、自分の興味が刺激されるものが必ずあるはずだからです。

そうして、ちょっと面白いと感じられたところを、検索をしたり、可能なら本を読むことで深堀りすることが重要です。それができたら、その分野は長く「楽しむ」ことができるようになります。しかし、ちょっと面白いと感じられたことも、そのままにしておけば、いつしか忘れてしまうのです。

多様な情報が得られる場所としては、古くはアレクサンドリア図書館(紀元前3世紀)にまでルーツを求めることが可能です。時間があいて、特にやることがない場合、図書館に足を向けてみるのはどうでしょう。自分でも知らなかった、新しい自分に出会えるかもしれません。

※参考文献
・前野 隆司, 『実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』, 2017年8月11日

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