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協力者カミングアウト?東大生が国連で提案

協力者カミングアウト?東大生が国連で提案

協力者カミングアウトという逆転の発想

障害を持った当事者(本人)が、それを周囲に認知されるサインというのは、古くは視覚障害者が持つ白い杖、白杖(はくじょう)などが知られています。しかし、その他の障害については、なかなか、こうしたサインが普及していないのが実情です(東京都のヘルプマークなどもありますが)。

こうした当事者による障害のカミングアウト、すなわち当事者カミングアウトも重要です。ただ、当事者カミングアウトは、人によっては自分の障害を常に外部に表示することに抵抗感を持ったり、不必要に劣等感を抱いてしまったりもします。

これに対して「何か困っている人がいたら助けますよ」という協力者カミングアウトという視点があります。当事者カミングアウトの真逆の視点ですが、こちらであればむしろ、それを示すことは誇りになりますし、普及も早い可能性があります。

普及を急ぐ必要があるのは、2020年に、東京オリンピック・パラリンピックがあるからです。東京オリンピック・パラリンピックにおいては、少なくとも、東京都のヘルプマークのようなローカルなルールは(おそらく)通用しません。

そこで、協力者カミングアウトという逆転の発想が提案されています。以下、大学ジャーナルオンラインの記事(2017年12月31日)の記事より、一部引用します(改行位置のみ、KAIGO LAB にて修正)。

2017年12月1日、東京大学医学部3年生の飯山智史さんと工学部3年生の町田紘太さんは、国連ニューヨーク本部で開催された「災害や紛争時の障害者の権利に関するパネル・ディスカッション」に、世界の若者の代表として招待され、国連の持続可能な開発目標(SGDs)の達成を目指す「東京大学EMPOWER」の活動を紹介した。(中略)

一般的な妊産婦、障害のある人等の「当事者」がマタニティマークやヘルプマーク等をつける「当事者」カミングアウトだけでなく、「席を譲りたいが、声をかける勇気がでない」人たちなど、個人の属性に関わらず、「協力者」がカミングアウトを行う「みんなの違いが力になる社会作り」を提案。

国連が提唱する障害の「社会モデル」に基づき、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの「おもてなし」と、SDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会実現に向け、交通機関や街の「物理的」アクセシビリティー、市民一人一人の「態度」や「行動」のアクセシビリティーの向上の必要性を呼びかけた。(後略)

社会的な介護への拡大利用も可能

この協力者カミングアウトというのは、社会的な介護への拡大利用も可能です。実際に、認知症サポーターのオレンジリングは、協力者カミングアウトの走りと言えるでしょう。これを、認知症に限らず、障害を持った人のサポートというところまで広げられたら、より素晴らしいことです。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時には、まずは「医療的な対応ができる」ことと「語学的な対応ができる」ことを示す協力者カミングアウトが中心にはなると思います。ただ、東京オリンピック・パラリンピックを、より幅の広い協力者カミングアウトの普及につなげることが重要になってきそうです。

ここで、障害サポートの専門性の高さまで問題にするかどうかが、議論を急ぐべきところかもしれません。たとえば、特に障害サポートの専門性がない人でも「何か困っている人がいたら助けますよ」という表示をすることまで制限する必要はありません。とはいえ、求められるのは素人でも対応できるサポートばかりではないでしょう。

将来的には、医療サポート、語学サポート、障害サポート、一般サポートが、それぞれに相手から見てわかるように、表示する色を分けることが必要だと思われます。また、困ったことがある人が支援ニーズに応じた Help ボタンを押すと、周辺にいるサポーターに連絡が行くようなアプリも求められるでしょう。

どちらか一方ではなく双方向の社会に

地域包括ケアというのは、自分自身も(可能なときには)他者の支援を行う地域社会を実現するということです。この実現には、当事者カミングアウトだけでなく、協力者カミングアウトも必要です。

地域包括ケアの実現は、これからますます厳しくなっていく日本の社会福祉にとって、最後の砦になる概念です。この構築に成功しなければ、枯渇する社会福祉財源がいよいよ限界に到達し、日本は、本格的にひどい社会から抜け出せなくなります。

この地域包括ケアへの社会変化を、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけとして生み出すことができるでしょうか。協力者カミングアウトというのは、それだけ可能性のある活動であり、実は、障害のタイプや地域に限定されない、真にグローバルなチャレンジなのです。

※参考文献
・大学ジャーナルオンライン, 『東京大学の学生が国連で「協力者カミングアウト」提案』, 2017年12月31日

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