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介護上場企業トップ10から見えてくること(介護事業の戦国時代)

【介護事業・戦国時代】介護上場企業トップ10から見えてくること

介護上場企業トップ10

介護大手には、どういった企業があるのでしょう。いまいちど、そんな大手の介護事業者について、簡単にまとめておきたいと思います。大手は、事業戦略の策定に十分な費用をかけることが可能です。ですから、こうした大手の動きは、注目しておくと介護業界の今を理解するのに役立ちます。

この表における各数字は、わかりやすさのために概算(億円単位で四捨五入)で表現しています。また、営業利益(本業の経営による利益)には、そのあとに、営業利益立(対売上比率)をカッコ内に示してあります。一般には、この比率が10%を超えると、経営成績のよい企業と考えることができます(あくまでも目安ですが)。

なお、この表の作成においては、2017年3月期決算を前提としている論文(堀田, 2017年)の記述を引用・参照しています。また、ランキングは売上高の順番であり、それだけで経営成績とはならないことには特に注意してください。売上高によって見えるのは、業界シェアのランキングであり、経営力とは限りません。

企業名
売上高
営業利益
特徴
1. ニチイ学館
1,438億円
110億円
(7.7%)
・総合的な介護サービスの提供
・居住系介護サービス増加
・中国への進出による介護モデルの輸出
2. SOMPOホールディングス
1,191億円
▲68億円
(赤字)
・2016年3月に業界3位の「メッセージ」を買収
・定期巡回・随時対応型訪問看護の利益大
・社員教育として企業内大学を開設
3. ベネッセ
1,031億円
82億円
(8.0%)
・業界2位から3位へ
・高齢者向けホームや住宅数を拡大
4. ツクイ
733億円
38億円
(5.2%)
・デイサービスは業界1位
・デイサービスにおける加算率をアップ
・有料老人ホームやサ高住も開設
5. セコム
668億円
46億円
(6.9%)
・在宅医療中心、訪問看護ステーション
・新たにインドの総合病院事業を加える
6. ユニマット・リタイアメント・コミュニティ
442億円
21億円
(4.8%)
・新規開設と統廃合
・高齢者住宅
7. セントケア・ホールディングス
371億円
19億円
(5.1%)
・「ずっとお家プロジェクト」で在宅支援中心のサービス
・医療との連携重視、訪問看護、看護小規模多機能型等、地域密着型サービス重視
8. 総合警備保障(ALSOK)
249億円
▲4億円
(赤字)
・HCM、ウィズネット等の子会社化
・高齢者住宅
9. ケア21
226億円
8億円
(3.5%)
・社内求職者紹介制度により雇用安定化
10. シップスケアホールディングス
212億円
6億円
(2.8%)
・グリーンライフ(大阪)とグリーンライフ東日本(東京)で有料老人ホーム展開
・全国施設の一体型経営
・不採算デイサービスの閉鎖

介護業界は戦国時代にあり勝者はまだ見えない

介護業界の市場規模は現時点でも約10兆円あります。トップであるニチイの売上1,438億円も、市場全体のわずか1.4%程度にしかなりません。介護業界は、大手が全国をおさえているという状況にはなく、完全な戦国時代にあります。どこからか、名もない企業が、この業界を牛耳ることになる可能性も十分にあるわけです。

全体として営業利益率が低く、赤字になっているところまであるのは、そもそも介護が儲からないということもありますが、介護業界におけるシェア争いが激しいことも示しています。様々な投資にお金をまわさないと、シェアが拡大できないことを意味するからです。

利用者(要介護者)の視点からすれば、大手だから安心ということもなく、自分に合った介護事業者を選ぶのは簡単なことではありません。逆に介護事業者の視点から言えば、利用者から選ばれる優れた介護事業者になっていければ、まだまだ、介護業界におけるシェアを拡大していくことは可能ということです。

介護業界で働く皆さまへ

介護業界は、このように、戦国時代にあります。ですから、ただ保守的であるばかりでは淘汰されてしまいます。もちろん、むやみにトリッキーな動きをすればよいということはありません。しかし、業界全体として見れば、ピンチも多くありますが、確実にチャンスもあります。

大手と同じことをしても勝てないのは、どの業界でも同じことではあります。しかし、大手も、シェアの獲得に苦しんでいます。こうした状況においては、やはり、顧客に選ばれる、本当に品質の高い介護サービスを生み出すことができるかどうかの競争に勝つことが大事です。

そうした意味で、介護業界で働く皆さまの戦場は、やはり現場にあるのです。現場で、本当に求められているサービスを見つけ出し、それを低コストな商品として作り上げ、顧客(利用者)に届けることができれば、十分に勝ち上がる可能性があります。そして、そこでは必ず「変化すること」が求められます。

介護業界の仕事は大変で、楽になる兆しはありません。絶望的な気持ちになることも多いと思います。ただ、将来の介護業界をまとめあげる一流企業は、そんな皆さまの中から生まれてきます。その中心人物が自分ではないとあきらめるのは、まだまだ早いのです。

※参考文献
・堀田 真理, 『わが国における介護事業をめぐるM&A』, 東洋大学経営学部, 経営論集90, 31-45, 2017年11月

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