閉じる

日本のヤングケアラー問題は、もはや児童労働問題になっている

日本のヤングケアラー問題は、もはや児童労働問題になっている

ヤングケアラー問題について

ヤングケアラーとは、家族などの介護を行っている子供(イギリスの先行調査では5〜17歳)を意味する言葉です。イギリスでは調査が続いていますが、日本ではまだ実情がよくわかっていないのが現状です。

ヤングケアラーになってしまうと(1)親子関係の逆転(2)教育問題;遅刻・早退・欠席・不登校(3)社会生活と友人関係;社会的孤立(4)経済問題;貧困(5)人格形成と就職問題、という大きく5つの問題が発生することがわかっています

特に日本は賦課方式(ふかほうしき)と呼ばれる社会福祉制度を築いています。これは要するに、若い世代の収入によって、高齢の世代を支えるという仕組みです。ですから、ヤングケアラー問題を放置することは、タコが自分の足を食べるのと同じことになります。

日本のヤングケアラー問題について重要な調査結果が報告された

このヤングケアラーについて、日本でのしっかりとした調査が行われました。その結果を、京都新聞が取り上げています。以下、その京都新聞の記事(2017年12月5日)から、一部引用します(改行位置のみ、KAIGO LABにて修正)。

調査は、大阪歯科大の濱島淑恵准教授と関西学院大の宮川雅充准教授らのグループが2016年1~12月、大阪府の公立高10校で実施、約5200人から回答を得た。ケア(介護)を要する家族がおり、自分がケアをしていると答えたのは272人。ケアする相手は祖母129人、祖父61人、母55人と続く。(中略)

ケアの頻度は「毎日」が33・5%、「週に4、5日」が11・8%と、毎日のようにしている生徒が半数近い。1日のケア時間は「1時間未満」が最も多かったものの、「2時間以上」が学校がある日で22・4%、学校がない日は38・6%おり、「4時間以上」も学校がある日で14・3%、学校がない日では22・8%に上るなど、負担が大きいと思われるケースも少なくなかった。

ケアの期間は、具体的な年数を回答した198人のうち半数以上が3年を越え、6年5カ月以上と答えた生徒もいるなど、小中学生の頃からケアが始まっていたことがうかがえる。(中略)

また、偏差値ランクの低い高校ほどヤングケアラーの存在割合が高い傾向がみられ、濱島准教授は「ケアの負担が大きく勉強に集中できないなど、学業面に影響が出ている可能性がある」と指摘した。(後略)

これは国際労働機関(ILO)によって規制される児童労働問題である

過去の悲惨な歴史を前提として、児童労働(子供が働かされること)は、世界的に規制されています。国際労働機関(ILO)は、1973年には最低年齢条約を作成し、世界的には、義務教育を終えていない子供の労働が制限されるようになっています。

介護が労働であることは、介護のプロ(介護職)が存在することからも明らかでしょう。ドイツなどでは、そもそも、家族による介護であっても、その家族に対して労働の対価が支払われています。「家族による介護は労働ではない」というのは、認められないのです。

今回の大規模調査で明らかになったのは、20人に1人(5.2%)の高校生が介護をしているヤングケアラーであるという事実です。そして注目したいのは、多くの回答者が、介護の期間を3年以上と答えている点です。これは、かなりの子供たちが、小・中学生のころから、介護をしているということです。

まずは正確な把握ができる仕組みづくりを!

子供ですから、自分の行っていることが労働であるとか、そもそもそれが介護であるという事実に気づくことは簡単ではありません。家の手伝いをしている程度だと考えてしまっている可能性も高いでしょう。ですから、こうしてヤングケアラーの把握ができてない現状を、教員のせいにすることはできません。

子供の側からSOSの声が上がるのを待っていることはできません。大人の社会がこれを把握していくための仕組みが必要になるはずです。介護職が自宅を訪れた際に、これに気づくことはできると思いますが、そもそも大人にも複雑な要介護認定を受けていないケースも多いと思われるのです。

即座に実現すべきなのは、国が主導して、子供へのアンケート調査を実施することです。たとえば、文科省が主導する全国学力・学習状況調査は、小学校の99%、中学校の96%にリーチしています。この学力調査の最後に、簡単なアンケートを入れるだけでも、数字としてのヤングケアラーの把握はできるはずです。

※参考文献
・京都新聞, 『高校生20人に1人、家族を介護 学校も知らず、支援課題』, 2017年12月5日
・文部科学省, 『平成29年度全国学力・学習状況調査の参加教育委員会・参加学校数数等について』, 2017年4月11日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

介護に強い保険に見直しませんか?