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【衆議院・解散総選挙】介護報酬引き下げにつながる資料の公表が先送りに?

【衆議院・解散総選挙】介護報酬引き下げにつながる資料の公表が先送りに?
KAIGO LAB は「介護」という視点から各政党や政治家についての言及を行いますが、政治的に中立です。

毎日新聞のスクープ

毎日新聞が、2018年に予定されている介護報酬の改定に関するスクープを発表しています。今回の選挙に配慮し、介護報酬の引き下げにつながる基礎資料の発表を先送りしているというのです。

本当に介護報酬が引き下げられるのか、まだ不明ではあります。しかし、このスクープが正しければ、悲惨なことになりそうです。以下、その毎日新聞の記事(2017年10月16日)より、一部引用します(改行位置のみ、KAIGO LABにて修正)。

2018年度介護報酬改定の基礎資料となる介護事業経営実態調査の結果公表を厚生労働省が衆院選後に先送りしていたことが、同省関係者への取材で分かった。社会保障費抑制の観点から介護報酬は厳しい改定になる見通しで、今回の調査結果は財務当局が報酬引き下げを主張する後押しになるデータも含まれる。

引き下げ論が強まれば介護事業者らの反発も予想され、同省幹部は「選挙に影響を与えないため、公表を遅らせた」と明かす。同調査は報酬改定に合わせ3年ごとに実施。無作為抽出した全国の施設の収支状況などを調べ、介護サービスごとの利益率を算出する。(中略)

厚労省は当初、調査結果の公表を前回と同じ今月3日に予定し、それを受けて社会保障審議会介護給付費分科会での議論を本格化させる構えだった。しかし突然の衆院解散で延期され、日程は決まっていない。(後略)

介護報酬が引き下げられたら何が起こるのか

そもそも国は、爆発的に膨らんでいく社会保障のための費用を抑制したいと考えています。さもないと、国が破綻してしまうからです。今回のスクープで明らかになったのは、次の介護報酬の改定には「都合の悪い話」があるということです。それは、介護報酬の引き下げで間違いないでしょう。

介護報酬が引き下げられると、介護サービスを使う利用者の金銭的な負担も小さくなります。そこはよい点ですが、そのぶんだけ、介護事業者の利益も減らされてしまうのです。介護事業者の利益が減ると、そこで働く介護職たちの待遇も改善されません。改善どころか、悪化する可能性さえあるでしょう。

介護業界の40歳モデル賃金は、全63業界中、ダントツの最下位です。また、介護事業者の倒産は、毎年、過去最高の件数を記録し続けています。そうした介護業界の売上に対して最大の影響がある介護報酬が引き下げられるということは、本当に厳しいことです。

このままでは、介護業界の待遇は、改善されません。介護事業者の倒産もますます増え、介護が必要になっても、介護サービスがないという地域も増えてしまうでしょう。そして、2025年には、介護職は38万人も不足すると言われているのです。日本の介護は、本当に恐ろしいことになってしまいます。

この状態に対して打ち手はないのか?

今回の選挙において、具体的にこの状態に対する改善策を提示しているのは、介護職の待遇改善に対して公的資金を注入することを述べた立憲民主党の枝野代表だけです。他の政党も、個別には介護職の待遇改善につながる提案をするところもありますが、党首レベルの政治家が、公的資金の注入にまで言及してはいません。

日本の介護は、このままではダメになってしまいます。いざ、自分の親に介護が必要になったとき、それを助けてくれる介護職がいない未来を想像してみてください。本当に毎日、自分だけで介護をこなしながら、仕事もやれるでしょうか。認知症があった場合、仕事中に親を見守ってくれる人はいるでしょうか。

2025年には、団塊の世代が75歳に突入しはじめます。75歳を超えると、心身になんらかの問題を抱え、要介護状態となる人が急に増えます。自分の親だけは大丈夫ということはありません。多くの人に、介護はやってきます。その未来がどのようなものになるか、決めるのは自分自身なのです。

※参考文献
・毎日新聞, 『介護経営調査 公表先送り、厚労省「選挙に配慮」』, 2017年10月16日

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