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【衆議院・解散総選挙】消費税の増税へ向けた議論がはじまる

【衆議院・解散総選挙】消費税の増税へ向けた議論がはじまる
KAIGO LAB は「介護」という視点から各政党や政治家についての言及を行いますが、政治的に中立です。

消費税の増税は避けられない

消費税率は、2014年4月1日に、5%から8%になりました。消費税率を高めないとならないのは、日本の社会保障を安定化させるためです。しかし、消費税による税収の過半にあたる部分(50%以上)は、国の借金である国債の返済にあてられています。

次の消費税の増税は、2年後の2019年10月からと考えられています。この増税でも、その過半は、国の借金返済にあてられる見込みです。本来であれば、介護をはじめとした社会福祉の充実(特に介護職の待遇改善)のための増税でなければならないのに、その内実は、借金を返すための増税という状況です。

消費税の増税まであと2年という今、政府は、衆議院の解散総選挙という方向で調整に入っています(投票日は10月22日の予定)。この選挙では、この消費税のあり方についても、論点の一つになるでしょう。以下、読売新聞の記事(2017年9月18日)より、一部引用します。

安倍首相は次期衆院選で、2019年10月の消費税率10%への引き上げに合わせ、増収分の使い道を「国の借金返済」から「社会保障の充実」に振り向けることを国民に訴える考えだ。

12年の与野党合意に基づく社会保障・税一体改革では、消費税5%からの引き上げ分は全て社会保障に充てることになっている。しかし、10%への引き上げ時に、子育てや介護などを充実させるための財源に回るのは、このうち1%分(約2・8兆円)にとどまる。(後略)

消費税はかなり公平な仕組み?

税金には様々なものがありますが、特に消費税と所得税については、深く考える必要があります。消費税は、ご存知のとおり、何かを購入するときに、その購入金額に応じて支払われる税金です。これに対して所得税は、所得の金額に応じて支払われる税金です。

ここで、所得税は、個人や法人(納税者)が、正直にかつ正確に自分たちの所得を計算し報告できるという期待を前提とした仕組みです。しかし現実には、高額所得者や儲かっている企業は節税に向かっており、これを把握したり、脱税を取り締まるための政府のコストが膨大になります。

これに対して消費税は、実際に使ったお金にかかる税金です。高額所得者や儲かっている企業は、贅沢に何かを購入する機会が多いのですから、その分だけ納める税金も大きくなるという単純な見込みです。

こうした背景から、特にヨーロッパ諸国は、1970年前後から、所得税よりも消費税を重視する方向に転換しています。国の税収全体に対する消費税の割合も、ヨーロッパ諸国は20%前後になっています。これに対して、日本とアメリカは、これが10%にも満たない状況です。

日本とアメリカは、お金持ちに(節税のプロを雇うことでの)節税の可能性を大めに残すという環境ができてしまっているのです。日本でも広がっている二極化を少しでも止めるためにも、消費税の割合を大きくしていくような税制改革は非常に大切なものです。

ただし、ヨーロッパ諸国の場合が実際にそうであるように、特に生活必需品の消費税は、通常の税率よりも低く抑えたりする工夫も必要です。そうでないと、お金持ちのほうが返ってトクをする仕組みにもなりかねないからです(逆進性)。そうした、より具体的な議論も、今後はとても大切なものになります。

今回の衆議院の解散総選挙で注目したいところ

今回の衆議院の解散総選挙では、もしかしたら「消費税減税」や「消費税の据え置き」を訴える候補者に出会うかもしれません。しかし、そうした場合は、膨れ上がる社会保障費や、国の借金返済のための財源をどこに求めるのか、しっかりと聞いておきたいところです。

この返答として「所得税の増税」といったことが述べられるとするならば、それは完全に時代に逆行している意見になります。また「税金の使われ方を見直す」ということであれば、それはそれで絶対に必要なことではありますが、その具体的な方法と、期待される節約の金額についても聞いておきたいところです。

今回の消費税の増税については、それで増やされる税収の使い道こそが論点です。国の借金返済を手厚くするのではなくて、社会福祉の充実、特に、介護職の待遇改善のための増税であってもらいたいところです。これから1ヶ月、政治家たちの公約に注目していきましょう。

※参考文献
・読売新聞, 『消費税増収分「社会保障の充実」に…首相訴えへ』, 2017年9月18日

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