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夜勤をする看護師、月72時間の基準超えが35%にもなる

夜勤をする看護師、月72時間の基準超えが35%にもなる

医療と介護の売上は改善することが困難

日本の医療と介護は、その売上にあたる報酬が(基本的には)国によって定められています。その財源は税金(義務として徴収される各種保険料は税金の一種)であり、それが枯渇しつつあります。このため、医療と介護の報酬は、法改正のたびに、あの手この手で引き下げられてきました。

今後も、財源の問題から、医療と介護の報酬が上がっていくことは期待できません。そうなると、病院や介護事業者は、売上の改善に苦しむことになるため、十分な人数の従業員を抱えることができなくなります。しかしそれでも、医療や介護を必要とする人は減るどころか増えていきます。

これにより、従業員1人あたりの業務量が増えてしまいます。劇務といってよい状態です。そして、医療と介護に従事する人の激務は、もはや限界に来ています。以下、日本経済新聞の記事(2017年6月12日)より、一部引用します。

全国の病院で夜勤を含めた交代制勤務をしている看護職員のうち、夜勤抑制の基準となっている「月72時間」を超える夜勤をしている人が34.8%に上ることが12日までに、日本看護協会(東京)の2016年調査で分かった。(中略)

現行の労働法制に夜勤時間や回数の規制はない。診療報酬の入院基本料に関し「看護職員1人当たりの月平均夜勤時間数は72時間以下」の算定要件を設けることで、長時間の夜勤に歯止めをかけている。調査は16年10月、全国8469病院を対象に実施し、3549施設から回答があった。(後略)

書類仕事を減らすことを真剣に考えるべき

本来、医療と介護の仕事は、対人援助のために存在しているものです。しかし、日常業務の中には、無視できない量の書類仕事が含まれてしまっています。いわゆる雑務です。特定の国家資格をもたないと認められない仕事も多いので、雑務であっても、それを無資格者にはお願いすることができない場合もあります。

そもそも、大規模な組織であればともかく、小規模な組織であれば、お願いできる他者がいないという組織も少なくありません。そうした組織では、医療と介護における貴重な労働力が、本来の対人援助ではなく、文書の作成に使われてしまっているのです。

たとえば報告書であれば、いっそ、すべての活動を動画と音声で記録してしまって、そこから自動的に報告に必要なところを抽出するような技術ができないものでしょうか。そうして、足りない情報についてだけ、入力をお願いするような仕組みです。

そうした動画と音声による記録があれば、なにか事故があった場合の証拠にもなります。近年、メディアを賑わせることが増えてきた医療や介護の現場における犯罪もまた、抑止することが可能になるでしょう。

研究者から依頼されるアンケートも多すぎる

こうした医療と介護の現場には、その状況を正しく把握するために、研究者から様々なアンケートが送られてきます。そうしたアンケートの中には、重要なものがあることも事実です。しかし、過去になんども回答したのとかなり類似したアンケートも多数送られてきます。

研究者たちも、医療と介護の仕事における対人援助の時間を奪っているという自覚が必要です。そのアンケートに答えることが、結果として、対人援助の時間を増やす方向に貢献するのであれば仕方がありません。しかし、少し調べれば、調査報告がすでに存在していることがわかるようなものは控えるべきでしょう。

「地獄への道は、善意で舗装されている」とも言います。いかに背景に善意があったとしても、本当にその活動が、医療と介護の発展に寄与することになるのかどうか、よくよく考えていきたいところです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『看護師夜勤、基準超え34% 離職率高まる一因に』, 2017年6月12日

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