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介護福祉士を目指す外国人留学生が5年で30倍に?(ニュースを考える)

介護福祉士を目指す外国人留学生が5年で30倍に?(ニュースを考える)

介護業界の人材不足を外国人で穴埋めする?

これまでに何度も取り上げてきましたが、日本における介護人材の不足は深刻を通り越して、危機的な状況になりつつありあます。2025年には37.3万人の介護人材が不足するとみられており、あと数年でこの穴埋めができないと、介護難民が生まれてしまいます。

本当の解決策は、介護業界の待遇改善にあります。しかし、財源が国の税金(介護保険もある種の税金)であるという背景から、介護業界の待遇改善は簡単には進みません。そこで日本は、待遇の悪い業界に対して、外国人労働者を受け入れようとしています。以下、yomiDr.の記事(2017年8月14日)より、一部引用します(改行位置のみKAIGO LABにて修正)。

介護の国家資格「介護福祉士」の取得を目指す留学生が急増している。専門学校などの養成校に今春、入学したのは全国で計591人と、統計を取り始めた2012年度の約30倍で、入学者全体の1割近くに上っている。

9月に施行される改正出入国管理・難民認定法(入管法)で在留資格に「介護」が加わり、新たに介護福祉士となった外国人は、最大5年の在留資格が得られ、繰り返し更新できることが背景にある。(中略)

留学生とは対照的に、養成校で学ぶ日本人は減少傾向だ。入学者は全国平均で定員の5割を下回る。12年度の入学者1万2730人から今年度は約4割も減っている。介護職員の給与の低さなど待遇が主な理由だ。

社会的な立場の弱い人を安く使うということ

先のニュースにあるような状況が生まれたのは、介護福祉士(国家資格)を取得すれば、介護にのみ就労ビザが下りるという法整備ができたからです。そうして日本にやってきて、一生懸命勉強をして介護福祉士になった外国人は、介護業界で働かないと帰国しなければなりません。

この外国人たちは、いずれ「帰国するか、安い賃金でも働くか」という葛藤の中に放り込まれることになるわけです。しかし、そもそも帰国してもあまりよい職がないからこその留学生です。帰国するという選択肢はないでしょう。そうなると、不当に安い賃金であっても、我慢をして働くしかありません。

そうして5年の在留資格を繰り返し更新していけば、日本での暮らしにも慣れ、子供も日本語を話すようになっていくでしょう。そうした状態になったとき、より高い報酬を求めても、それを得る手段が閉ざされているという環境は、かなり過酷です。

一番のポイントは、そこに、実質的な職業選択の自由が与えられていないことです。そうして職業選択の自由を奪われている社会的に立場の弱い人を安く使うというのは、実質的な奴隷労働ともいえます。社会福祉が奴隷労働によって支えられるとするなら、茶番としか言いようがありません。

本当はどうあらねばならないか

仮に、入り口は介護福祉士だったとしても、日本にやってきた外国人に対しても、職業選択の自由を担保していくべきです。それは、法的には可能だけれども実質的には不可能という、日本のお家芸的な方便であってはなりません。実質的に、外国人労働者からみてチャンスになていないと、世界的にみたときは不当なのです。

人口減少にともなって、介護業界に限らず、日本の労働力はどんどん減っていきます。こうして、介護業界でホスピタリティーを学んだ外国人が、他の業界にも就職していくことは、長期的には日本のためにもなるはずです。

しかし、今のままでは、せっかく日本にきて介護を学んでも「騙された」と感じて帰国していく外国人が増えることは目に見えています。そうして、せっかく増やすことに成功した留学生もまた、減っていくことになるのです。長期的な視点で考えれば明らかなのですが、結局、多くの労働者が満足して働ける環境のある国が栄えるのです。

※参考文献
・yomiDr.『「介護福祉士」志望の留学生急増…5年で30倍、在留資格追加で』, 2017年8月14日

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