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介護人材の養成学校への入学者数が、前年比で11%以上も減少してしまった・・・

介護人材の養成学校への入学者数が、前年比で11%以上も減少してしまった・・・

介護人材の養成学校は、慢性的な定員割れを起こしている

介護福祉士の養成学校が定員割れを起こしているという話は、これまでも何度か報告してきました。この状況は、改善するどころか、どんどん悪化しているようなのです。以下、NHK NEWS WEBの記事(2017年8月13日)より、一部引用します。

介護福祉士を養成する全国の大学や専門学校の今年度の入学者は、外国人留学生が前の年度の2倍に増えた一方、日本人の入学者は大幅に減り、全体では、これまでで最も少なかったことが大学や専門学校で作る団体の調査でわかりました。(中略)

日本人の入学者は6667人で、前の年度から11%以上大幅に減り、日本人と外国人を合わせた全体の入学者は7258人と定員の45.7%にとどまり、これまでで最も少なくなりました。介護現場で深刻な人手不足が続くなか、日本人の若い世代で、介護の仕事を敬遠する傾向が一段と強まっている実情が浮き彫りになっています。(後略)

介護人材は、2025年には37.3万人が不足すると予測されています。不足するとわかっているのに、待遇の改善は遅々として進まないため、若者が就職を希望しなくなってきています。その度合いも、いよいよ、定員の45.7%というレベルにまで到達してしまいました。

介護業界の待遇は、どうしてなかなか改善されないのか?

介護業界では、もはや、待遇の改善が待ったなしの状態であることは、常識的に知られています。責任が重く、困難を伴う仕事にも関わらず、毎月の手取りで20万円を切るケースも散見されるのが介護業界の実情です。ここにメスを入れないと、今後は、ますます介護人材が足りなくなっていきます。

介護人材が足りないと、自分の親や配偶者に介護が必要になったとき、それを助けてくれる人がいないということになります。介護のすべてを、自分でやらないといけない状態になれば、仕事と両立させることは不可能です。そうして介護離職してしまえば、最悪は、自分自身の将来は生活保護ということにもなりかねません。

では、どうして介護業界の待遇の改善は進まないのでしょう。それは、介護業界の売上は、そのほとんどが、介護保険(税金の一種)でまかなわれているからです。介護保険の財源に、自己負担部分を足し合わせると、日本の年間の介護予算は約11兆円ということになります。そもそもこれが、介護業界全体の売上の事実上の天井です。

現在の介護業界には、約180万人の労働者がいます。約11兆円という売上を、この180万人で割ると、1人当たり売り上げは約611万円です。ここから、介護事業の経営にかかる経費(家賃、光熱費、交通費など)を引き算した残りが給与の原資になります。

給与の原資からは、さらに社会保険料などが引き算されるので、どうしても、平均の待遇は年間で300万円程度になってしまいます。介護事業者の中には、従業員の待遇を改善しようと必死になっているところも少なくありません。しかし、そもそも国の予算に天井があるのですから、どうしようもないという実情があるのです。

解決策となるのは混合介護しかない

解決策となるのは、介護保険が適用されない介護サービスと、既存の介護保険内の介護サービスを組み合わせて提供する混合介護です。これが可能になれば、売上の天井はなくなります。介護事業者が経営努力をすればするほどに、売上を高めることができるようになるからです。

しかし同時に、こうした混合介護が解禁されると、介護事業者にとっては、お金持ちが優良顧客ということになります。貧富の格差によって、介護を受けられる人とそうでない人が生まれてしまう可能性も高いのです。また、認知症に苦しむ人に対して、不当に高い金額を請求するといった不正も発生してしまうでしょう。

それでもなお、混合介護を進めないと、介護人材は増えていきません。結果として、介護を受けたくても受けられない人もまた増えていきます。それは介護離職が激増する未来につながり、そうなれば、税収もまた減ってしまいます。すると、国の介護のための予算はますます減ってしまうのです。

介護人材の不足が極まれば、お金持ちは、介護保険を利用しないで全額自己負担でも介護サービスを受けるようになるでしょう。どのみち、貧富の格差はどの世界にもあることであり、それが介護の世界でも当たり前になっていくという方向は避けようがないのです。

貧富の格差が避けられない同じ未来なのであれば、せめて、介護人材の待遇が改善される方向だけでも実現されるべきではないでしょうか。そのための混合介護なのですが、残念ながら現在のところは「待った」がかかっている状態です。そしてこの「待った」がいつ解けるのかは、不明です。

※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『介護福祉士養成の大学・専門学校 入学者これまでで最少に』, 2017年8月13日

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