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移動販売の4割以上が経営難という現実(買い物難民は救われない)

移動販売の4割以上が経営難という現実(買い物難民は救われない)

そもそも移動販売は儲からないビジネス・モデルなのか?

移動販売は、移動先でたくさんの利益が上がらないと成立しないビジネス・モデルです。そもそも移動コスト(人件費、ガソリン代、自動車保険代など)の分だけ多い利益が出ることは経営の必要条件にすぎません。そうした利益が、他の地域で移動販売を行うよりも多く出て、はじめて事業の継続が可能になります。

そうなると、いかに移動販売とはいえ、行き先となる地域には、ある程度の人口が必要になります。しかし、ある程度の人口があるなら、そこにはスーパーなども存在しているはずです。そう考えたとき、そもそも移動販売は、例外的なケースを除けば、儲からないということになりそうです。

しかし高齢者ともなると、自動車の運転免許を返納する必要性なども出てくるため、こうした移動販売の存在は、死活問題に直結します。ですから、自治体などは、こうした移動販売の事業者に対して、補助金を出すといったサポートを続けてきました。しかし財政難によって、そうした補助金も足りなくなってきているようなのです。

買い物難民向けの移動販売が赤字という現実

そうした中、スーパーなどがない過疎地に暮らす買い物難民のための移動販売が赤字というニュースが入ってきました。当然といえば当然なのですが、赤字になっている事業者の割合がかなり高いことが心配です。以下、NHK NEWS WEBの記事(2017年7月13日)より、一部引用します。

自宅近くにスーパーなどがなく買い物に困っている、いわゆる「買い物弱者」のお年寄りなどに向けて、移動販売や宅配を行う全国の事業者を総務省が調べたところ、40%余りが赤字経営で、事業を断念する業者も相次いでいることがわかりました。

経済産業省によりますと、「買い物弱者」は全国で700万人余りに上ると推計され、国や都道府県などは10年ほど前から、山あいの集落などで暮らすお年寄りを対象にした移動販売など、支援に取り組む事業者に補助金を出す対策を進めてきました。(中略)

滋賀県長浜市余呉町の菅並地区で1人暮らしをしている80代の女性は「市中心部のスーパーに行くためには、バスで往復1200円の運賃がかかり、日常の買い物をするには大きな負担です。車の運転ができず足腰も弱いため、重い荷物は持てません。自宅近くまで訪問してもらえる移動販売が存続してもらわないと、食べるものも満足に確保できず本当に困ってしまいます」と話していました。(後略)

過疎地に暮らすことを贅沢としないとならない

昔であれば、いろいろな我慢をして過疎地で暮らすことは、コストの高い都市部で暮らすよりも生活費を節約できることでした。しかし今となっては、むしろ、過疎地で暮らすことのほうが(買い物のためにガソリン代などの負担をする必要があるため)コストが高くなってきているのです。

コストが高くても暮らせるということは、すなわち、贅沢です。そして多くの高齢者は、贅沢な暮らしを維持できるほどには裕福ではありません。過疎地では、介護サービスを受けることも制限される流れができてしまっており、過疎地は人間が安心して暮らせないところになりつつもあります。

忘れられがちなことですが、安心というのは、本来、高価なのです。戦後の高度成長期には、そうした、本来は高価なものが、税金によって安価に振舞われてきました。しかし税収が思うように伸びない時代にあって、高価なものが高価なまま、国民に届けられるようになってきているわけです。

※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『「買い物弱者」支援の移動販売や宅配事業者 4割超が経営難』, 2017年7月13日

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