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高齢者によく見られる消化器系の病気について

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消化器系は老化しにくい?

様々な身体の機能の中で、消化器系(digestive system)は、高齢者になっても比較的維持されやすいと言われます。生物として、栄養の摂取は死活問題の根幹だからでしょう。逆にいうなら、消化器系の病気は、生命の維持に直結しやすい危険なものということです。

消化器系とは、飲食物を体内に取り込み、消化することで栄養を吸収したり貯蔵したりしつつ、不要なものを排泄するという一連のシステムを担う器官群のことです。高齢者でも維持されやすいとはいえ、唾液が減ってしまったり、空腹感が得られにくくなったりといった高齢化による影響も存在します。

人間の場合、飲食物を消化しつつ運搬する消化管は、全長にして6〜8mもあるとされます。こうした長さによって、取り込んだ栄養を無駄にすることなく、しっかりと吸収するようになっているわけです。しかし、それだけ長い(体内の大きな部分を占める)ということは、そのどこかで問題が生じる可能性もまた高いということでもあります。

知っておきたい消化器系の病気

介護職員の研修テキストにもある、介護をする上で、最低限知っておきたいのは(1)胃・十二指腸潰瘍(2)胃がん(3)大腸がん(4)肝炎・肝硬変の4つです。意外と多くの人が、一昔前の知識に依存していることが多いので、一度は確認しておきたいところです。これらについて、以下、参考文献(黒澤, 2013年)の記述に対して、一部 KAIGO LAB にて加筆・修正した簡単な表を掲載しておきます。

病名
特徴
知っておきたいこと
胃・十二指腸潰瘍 近年では原因としてピロリ菌への感染が注目されており、その検査なども充実してきている。高齢者の場合、現役時代とは異なる生活から来るストレスなどによる広範囲における出血性胃潰瘍が多い。 大量の出血を伴うような少数のケースをのぞけば、薬の服用や点滴などによって完治することができる病気である。あわてずに、医師の指示に従う。
胃がん 近年では減少してきている悪性腫瘍ではあるものの、発生率は高い。内視鏡の発展にともなって、検査も受けやすくなってきている。 胃の痛みから発覚するケースはむしろ少なく、胃もたれや不快感などから検査した結果として見つかることが多い。こまめに検査を行い、発見された場合は、手術による治療が基本となる。
大腸がん 近年、急増が認められる悪性腫瘍であり、肺がん、胃がんに次いで3番目に多い。肛門近くの直腸ばかりでなく、大腸全体に見られるので、注意が必要。 便に血が認められることから検査をして見つかることも多い。便潜血検査が有効なので、定期的に、こうした検査を受けておきたい。
慢性肝炎・肝硬変 肝炎ウイルスと治療法の確立があるため、今後は減少していく。とはいえ、まだしばらくは、B型肝炎およびC型肝炎には注意が必要。特に肝硬変は、長い時間をかけて進行するため、高齢期に発症することが多い。 はっきりとした症状が認められないことが多く、検査をしないと、病気があることがわからない。できるだけ定期的に肝機能の検査を行う必要がある。

きちんと検査しましょう!

病気は、早期発見し、早期治療するのが基本です。発見が遅れると、生命の危険につながることはもちろんです。それだけでなく、発見が遅れ、大掛かりな治療が必要になってしまえば、枯渇しつつある社会福祉のための財源へのダメージにもなってしまいます。

ストレスは、様々な病気の原因になります。ストレスというと、どうしてもバリバリ仕事をこなしている現役世代に多いような気になります。しかし、定年退職をして慣れない生活をしている高齢者には、現役時代とは異なるストレスも多いのです。友人の死別などを経験することも多くなる高齢者だからこそ、ストレスにも注意したいところです。

現役時代であれば、会社が健康診断を手配してくれていたかもしれません。しかし、定年退職後の高齢者ともなると、面倒なこともあって、健康診断自体を受けないという人も増えてしまいます。本人のためもありますが、日本の未来のためにも、より多くの高齢者に健康診断を受けてもらいたいです。

※参考文献
・黒澤 貞夫, et al., 『介護職員初任者研修テキスト』, 中央法規, 2013年

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